入賞作品紹介

河北賞「銀河生まれる山」

志村 治彦(東京都新宿区) 撮影地:福島・北塩原村

【評】
 福島県北塩原村の桧原湖で5月に撮影された作品。この時期、これだけすっきりと澄んだ状態で天の川が見えるのは極めて珍しい。天気予報とにらめっこしながら撮影に挑んだのだろう。天の川の光がうっすらと湖面に映り込んでいるのも素晴らしい。

準特選「天上の華」

金原 聡美(仙台市泉区) 撮影地:大崎市

【評】
 ヒガンバナは被写体としては目を引くが、すっと伸びた茎に葉がなく、茎の真上に花が咲くため、撮影の難易度が高い。この作品はそのハードルを乗り越え、群生する花を立体的に切り取り、赤の濃淡で花の持つ独特のあでやかさを見事に引き出している。

JAL賞「金色の海」

鈴木 泰寿(塩釜市) 撮影地:東松島市

【評】
 日の出から間もない時、黄金色に照らされた海に、小舟の航跡を示す波模様がきれいに浮かび上がる。海面の輝きを最も美しく見せる位置でシャッターを切った。早朝の静けさも表現され、思わず手を合わせて拝みたくなるような神聖な雰囲気が漂う。

宮城県知事賞「かしこまりました」

當摩 泰雄(仙台市泉区) 撮影地:宮城・丸森町

【評】
 正座し、手をついてお辞儀しているようなカエルの姿に思わず笑ってしまう。タイトルもカエルの姿にぴったり。「ユーモア賞」を進呈したい。なかなか目が届かないヒマワリの花の裏側。そこにチョンと座っているカエルを、よく見つけたものだ。

岩手県知事賞「静寂 晩秋の里」

山内 達(盛岡市) 撮影地:盛岡市

【評】
 刈り取りを終え、脱穀した稲わらをきれいに並べている。この農家はきっと、きちょうめんな人なのだろう。山里と満月。「これぞ日本の古里」という風景が広がる。民家を画面に入れたことで、里に暮らす人々の息遣いを感じさせる効果をもたらした。

秋田県知事賞「田植え終えて」

佐藤 崇(仙台市泉区) 撮影地:宮城・大郷町

【評】
 あぜを走るトラクターがこの日の仕事を全て物語る。苗を植えた田と水を張ったばかりの田の対比や、夕日で黄金色に光る水面、トラクターの位置が絶妙。動く被写体がぶれやすい夕暮れ時でもピントをしっかり合わせ、シャッターチャンスを生かした。

富士フイルム賞「秋 深まる」

角山 芳晴(名取市) 撮影地:宮城・川崎町

【評】
 高低差がそれほどない滝。水が雲のように流れている。雨上がりだろうか。岩がぬれて黒っぽく見える。その岩の上に落ちた葉が、まだみずみずしさを保っている。奥の木々の葉は黄色く、手前の落ち葉は赤く映えている。その対比がとても美しい。

キヤノン賞「眩光に浮かぶ」

小野寺 健(富谷市) 撮影地:鶴岡市

【評】
 スイレンの葉が無数に浮かぶ水辺を、独特の感性で撮影した。わざと露出を切り詰めた状態で両サイドを暗くし、光が差し込んでいる部分だけシルバーメタリック調に強調した。見る人に一瞬、「何だろう」と思わせる模様の面白さをうまく表現した。

ニコン賞「渓谷の窓」

森 宏保(宮城県亘理町) 撮影地:宮城・丸森町

【評】
 タイトルの通り、岩のくぼみにたまった水を小さな窓に見立てた作品。じっと見ていると、窓の向こう側の景色を、上からのぞき込んでいるような感覚を与えてくれる。水面に映り込む木々が美しい。周りの緑が「小窓」の明るさをより際立たせている。

河北賞「日の出のワカメ作業」

カマタニ ヒサト(岩手県普代村) 撮影地:岩手・普代村

【評】
 ワカメの収穫に一番忙しい春。朝早く仕分けしているのだろうか。東北の浜の生活が凝縮されている。ワカメの香りが漂う嗅覚に訴える作品だ。構図も手前と奥に漁業者を配置し、立体感があるのが良い。入港する船も捉えていて、静かだが動きがある。

準特選「お昼時」

北村 卓(仙台市青葉区) 撮影地:滝沢市

【評】
 2頭の馬がアップで飼い葉を食べていて、その隙間に祭りに参加中の子どもたちがお昼を食べている。ほっこりするし、ユーモアを感じさせる。祭りの定番の場面を撮った作品が多い中で、一番ユニーク。馬の間から人間が見えているという構図が良い。

青森県知事賞「アワビ漁」

板橋 毅(石巻市) 撮影地:石巻市

【評】
 朝もやの漁の風景。船から撮ったのだろう。臨場感がある。朝焼けのオレンジの光を良く捉えた。きれいな色合いをぴったりのタイミングで撮った。手前の船は漁業者がろを繰っている。道具まできちんと見えていて、漁について興味が湧く作品だ。

山形県知事賞「干し柿」

熱海 弘士(仙台市青葉区) 撮影地:上山市

【評】
 鈴なりにつるされた干し柿にボリューム感がある。広い土間にまきストーブと白熱灯。歴史を感じさせる「ザ・東北」の一こま。昭和の始めにタイムスリップしたようだ。干し柿のくすんだオレンジとおばあさんの服の鮮やかなグリーンの対比が効果的だ。

東北放送賞「フルーツに囲まれて」

宍戸 一恵(仙台市宮城野区) 撮影地:名取市

【評】
 閖上の朝市。幼子がフルーツに囲まれて、甘い香りの中ですやすや眠っている。お孫さんだろうか。暮らしのテーマは漁村や伝統に傾きがちだが、日常の一こまを切り取った。津波で被災し、復興途上の閖上を知っていれば、より深みを感じるだろう。

オリンパス賞「じゃがいも畑」

山本 かつい(仙台市太白区) 撮影地:名取市

【評】
 農作業の合間の光景で、ほのぼのとしたのんびり感がある。人物を左端に置いたが、中央に1本の木があり、さみしくない。おばあさんとお嫁さんだろうか。2人の笑顔を見ると、幸せに暮らしていることが分かる。土と共に暮らす農村の良さが伝わる。

ペンタックス賞「88歳の手わっさ」

鈴木 彦三(福島市) 撮影地:福島・柳津町

【評】
 おばあさんがたたいているのはサヤエンドウかインゲン豆か。麦わら帽子に頬かむりをした典型的な農作業の姿。笑っているわけではないが、手作業を楽しんでいる。表情と動きが良い。夕暮れ前。暗い部分がつぶれておらず、光と影の対比がちょうど良い。

河北賞「鉄道員」

佐藤 一之(塩釜市) 撮影地:五所川原市

【評】
 津軽鉄道の津軽五所川原駅で撮影された作品。粉雪が降りしきる中、手旗を持ち、列車の安全な運行に気を配る。軒下には長く伸びたつらら。寒さと闘いながら働く鉄道員のひたむきさが伝わってくる。まるで映画の一場面を見ているようだ。

準特選「明けやらぬ」

山本 敏夫(八戸市) 撮影地:八戸市

【評】
 朝焼けを背に海辺を走るJR八戸線の列車。きっと吹きさらしの風を受けながら走っているのだろう。冬独特の厚い雲と、岩に積もった雪から、荒々しい自然、厳しい寒さが伝わる。夜明け前の空と海が見せる「青の競演」も作品を引き立てている。

福島県知事賞「苦渋の除染」

関場 和子(南相馬市) 撮影地:福島・富岡町

【評】
 除染で伐採されたJR常磐線夜ノ森駅のツツジ。福島の今をリアルに切り取った。咲き誇る桜の下に、裸になった無残な土と積まれた黒い袋がある。3者の対比がしっかりしていて、重機が色合い的にもアクセントに。ジャーナリスティックな1枚だ。

東北電力賞「女川駅」

佐々木 茂生(仙台市泉区) 撮影地:宮城・女川町

【評】
 復興したJR石巻線女川駅の真新しいホームに汚れていないきれいな敷石。手前で終わる線路が石巻線全線開通を雄弁に物語る。震災直後、分断された線路を見た者には感慨深いだろう。手前に向かう乗降客を収めた点も未来への希望を暗示していて良い。