デスク日誌

農泊

 交流人口の増加で地方創生、というのを本当はあまり信じていない。民泊農泊ばやりだが、まんまと国に乗せられている気がする。
 「はいはい、理屈はいいから遊びに来なよ」と誘われ、花巻市東和町の住民たちが企画した「農旅シンポジウム」に顔を出した。
 話し合いは真剣だが「手をこまねいていたら地方が消滅してしまう」といった切迫感はないみたい。何しろパネル討論の結論が「取りあえず楽しみながらやってみるべ」だった。
 会場後方ではおばちゃんたちがひっつみ汁を作り始め、舞台ではユーモラスなしぐさの「立石百姓踊」を披露。最後は郷土料理で食事会となり、まるで集落の寄り合いに迷い込んだ気分のままお開きになった。
 民泊農泊のイメージが少し変わった頃、実際に遠野の農家民宿に泊まる機会があった。支局記者を集めての会議と懇親会だ。まきストーブを囲み、絶品料理の数々とどぶろくを心ゆくまで味わった。
 田舎の人は、国の政策誘導をしたたかに利用している風でもある。デスクにしがみついて理屈をこねくり回してみても、本当のことは分からないのだった。
(盛岡総局長 矢野奨)


2018年02月14日水曜日


先頭に戻る