河北抄

 「震災の記憶泥棒」となじりたくなる。東日本大震災関連の書籍や資料を並べた一部の公立図書館で、盗難被害が相次いでいるという。あの日の体験を次世代に継ぐ思いまで持ち去っていることに気付かないのだろうか。
 仙台市青葉区のせんだいメディアテークにある市民図書館。震災後に再開した2011年5月から今年3月まで、計218冊の行方が分からない。状況からして盗まれたとみられる。所蔵している震災関連資料約8350点の一部とはいえ、見過ごしてはならない数だ。
 被害に遭ったのは「3.11震災文庫」と名付けられた特設コーナー。誰もが手に取って閲覧できる。無断で持ち出すと警報が鳴る盗難防止装置は建物に出入り口が多いため、予算面で導入が難しいという。震災の教訓を幅広く知ってもらう趣旨からすると、閲覧制限も難しい。
 「震災の被害と復興の情報を広く伝えていくことが図書館の役割。モラルに訴えるしかない」と高橋泰副館長。パネル掲示などで持ち出し防止を呼び掛けるというが、何ともむなしい。


2017年04月21日金曜日


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