河北抄

 美術史や音楽史をひもとくと、王や教皇、資産家らパトロンが芸術の発展に長らく寄与してきた。現代の「ネーミングライツ」(命名権)にも、そんな思いが込められているのだろうか。
 仙台市が市八木山動物公園など四つの公共施設の命名権を企業に売却した。今後3年間、動物園の愛称は「セルコホーム ズーパラダイス八木山」となる。
 味の素が2003年、東京スタジアムの名称を購入したのが国内初の公共施設の命名権契約という。それ以降、財政難を理由に多くの自治体が参入、歩道橋や公衆トイレにまで拡大する勢いだ。
 県営宮城球場は「フルスタ宮城」「Kスタ宮城」「Koboスタ宮城」「Koboパーク宮城」と名称が、目まぐるしく変わった。「今度こそ定着を」と願うのは楽天ファンにとどまらないだろう。
 「自主財源の確保」「企業イメージの向上」。自治体と企業双方にメリットがあるとはいえ、名称の線引きはなかなか難しい。北海道旭川市の旭山動物園は「子どもが来る動物園にはなじまない」と採用しなかった。一つの見識だと思う。


2017年04月27日木曜日


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