河北抄

 赤く色づいた葉を落とすサクラ並木の向こうに、イチョウの黄葉が照り映えている。サク、サク。きれいな振り袖姿の女の子が、両脇を父母に守られるように落ち葉を踏みしめて歩いていく。
 仙台市青葉区の西公園にある桜岡大神宮。先日訪れると、15日の七五三を前に一足早く参拝する人たちが大勢いた。
 酒田市出身の故土門拳さんは営業写真から報道写真家へ転身した出世作が『七五三』だった。後に「初めの一歩にふさわしいテーマだった」と述懐。鳥居の前で記念撮影する家族の肖像に自分の先行きを重ね合わせたのだろう。
 人は生きていくなかで、さまざまな儀式に臨む。七五三の次は数え年13歳で行う春の「十三参り」か。「知恵もらい」ともいい、虚空蔵菩薩(ぼさつ)に詣でた後は決して振り返ってはいけない。誘惑に負けず、前を見て歩んでいく決意を示す。
 西公園では多くの子たちが足ほどに長い千歳あめを引きずって歩いていた。思えば七五三は子が親に甘えていい参拝である。親にとっても、この日のことは千歳あめのように甘い記憶として残る。


2017年11月14日火曜日


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