河北抄

 91歳の絵本作家加古里子(かこさとし)さんが、「だるまちゃん」シリーズの新作を3冊出版(いずれも福音館書店)した。そのうち『だるまちゃんとかまどんちゃん』『だるまちゃんとはやたちゃん』の後書きには、「震災被災者への慰霊と鎮魂、原発事故への警鐘の念を込めた」とある。
 かまどんちゃんのモデルは宮城県北、岩手県南に伝わる火難よけのかまど神。だるまちゃんたちと、ままごと遊び中に危険を顧みず火事を防いだ、かまどんちゃん。あの時、人を救いながら自らは命を落とした人々の象徴だろうか。
 おっかなもりにある、はやたちゃんの家に、だるまちゃんはたどりつけなくなってしまった。原発事故で立ち入ることができなくなった地域の暗示と読める。
 子どもの感性を豊かにし、人間性を育むのにも絵本の読み聞かせは役立つ。50年を超すシリーズで、初めて3冊を同時に刊行した強い思いはいつか分かる。
 大人は、人々が助け合った事実、古里を取り戻そうと頑張る人の存在も、語ってほしい。加古さんの思いを追い風に、震災の実相を次代へつないでいきたい。


2018年02月03日土曜日


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