河北抄

 地域の人々が集う場を東京電力福島第1原発事故が奪ってしまった。「手仕事をしながら共通の時間を持てる場所があればいい」。福島県大玉村を訪れた研究者の林剛平さん(33)が住民の依頼から環境放射能調査で通うようになり、たどり着いたのが日本伝統の藍染めだった。
 染織家、藍師に教えを請い技術を一から学びながら、2016年、風評被害に苦しむ地元の人々と連携し「歓藍社(かんらんしゃ)」という団体を立ち上げた。遊休農地を活用して種まきから始め、今では独自のバッグや手拭いを販売するまでになった。
 今度は農村と海辺を藍でつなげようと、仙台市のせんだいメディアテークで10日、大玉村産の天然顔料と石巻市の雄勝石を用いた染色教室を開いた。デニム地に大小の石を輪ゴムでくくり付け、スプレーで顔料を直接吹き掛ける「絞り染め」。しばらくして石を外せば、インディゴブルーの不思議な文様が広がった。
 「天空から眺めた地形に見える」「海原みたい」。未知の体験に参加者は大喜び。希望者には藍の種が配られた。歓藍社の思いが巡り回り、芽吹けばいい。


2018年03月13日火曜日


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