河北春秋

 気仙沼市と宮城県南三陸町で構成する広域行政事務組合が運営するリアス・アーク美術館。たびたび津波に襲われてきた地域の歴史を、東日本大震災以前から企画展などで紹介してきた▼震災では大きな揺れで建物が損壊。学芸員らは館内に泊まり込み、被災状況の調査・記録に走り回った。2年後、館の再開と同時に実現した常設展示「東日本大震災の記録と津波の災害史」は、その活動が形になったものだ▼当時集めた被災物は、人々の暮らしの記録を再生させる装置として陳列。被災地の写真には詳しい状況説明とともに撮影者の思いを記した。写真を中心に約400点が東京の目黒区美術館に送られ、3月21日まで開催中の「気仙沼と、東日本大震災の記憶」であの時の惨状を再現して見せる▼毎年秋の「目黒のさんま祭」に魚を提供する縁で、気仙沼市は目黒区と友好都市の関係にある。区美術館の佐川夕子学芸員は「震災から5年たって、報道が少なくなると首都圏では被災地のことを忘れがち。震災の状況を伝えて減災意識を高めることは大切」と話す▼訪れた人は真剣な表情で雄弁に語り掛ける展示物を見詰めているという。東京もまた、直下型地震など災害の危険と無縁ではない。関係者は震災を自分のこととして考える契機に、と願う。(2016.2.22) 


2016年02月22日月曜日


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