河北春秋

 その男の子の名前も住所も、もはや調べようがない。彼が書いた手紙のコピーから、小学3年で東日本大震災に遭い、家も勉強道具も津波に流されたことが分かる▼男の子は進級し、新品のランドセルを手にした。2014年春の卒業とともに、そのランドセルを大崎倫理法人会(大崎市)に託した。小山正一事務長(67)は「向こうの人が読めるとは思えませんでしたが、彼の手紙を添えてアフガニスタンに送りました」と語る▼「ランドセルを使ってくれる君へ」。少年はつづった。「大切にしてきたランドセルが見えない糸となってぼくと君を結び、いつか出会えたらすてきだね」。気持ちはきっと届いただろう▼大崎倫理法人会は国際協力の非政府組織(NGO)の活動に協賛し、04年以来、約3000個をかの国に送ってきた。旧ソ連による侵攻に続く国内紛争。荒れ果てた土地で、子どもたちは懸命に学んでいる。露天に小さな黒板が一つだけの教場も珍しくない。そんな環境で机代わりにもなるのがランドセルだ▼軍隊の背のうがルーツだという日本のランドセル。戦災から立ち直ろうとしている国へ、平和と希望の使者として旅立つ。「今年は目標数に達しました。今後も受け付けます」と小山さん。連絡先は同法人会0229(87)3445。(2017.3.13) 


2017年03月13日月曜日


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