河北春秋

 「子どもたちは勉強できることを純粋に喜んでいた」「それまで不登校気味の子も学校に来られるようになった」。震災後の学校再開に奔走した教師らに聞き取り調査した記録集『学校を災害が襲うとき』に、そんな報告がある▼被災した子どもたちにとって、学校はどれほど大切な場所だったか。6年前、生活が一変した中、幼い心に不安を抱え校門をくぐった新1年生が大勢いた。当時の本紙を見ると、入学式での笑顔がいじらしい▼石巻市の雄勝小は津波で校舎が被災し、遠く離れた内陸の仮設校舎などを6年間使った。2010年度108人だった児童数は16人に減少。地域の陰りをそのまま映す。「子どもたちの地域愛を育む場がなかった」と菅原美樹校長は言う▼児童らは海辺の暮らしを知らずに育った。「雄勝の良さに触れることなしに地域教育はできない」。仮設最後のこの1年、復興途上の地元に出向き、合宿や釣り体験など古里学習に集中して取り組んだ▼新年度、統合雄勝小・中学校が41人で開校する。やっと戻れる。6年生の大槻紗耶さんは「通学時間が長くて大変だったけど協力し合って生活することを学んだ」。きっと復興の先導役になれる。卒業式はあす。あの年の新入生が皆大きく成長し、プレハブ校舎を巣立っていく。(2017.3.16) 


2017年03月16日木曜日


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