河北春秋

 2015年に存在が分かった伊達政宗作という絵が展示されていると聞き、瑞巌寺(宮城県松島町)の宝物館に飛んで行った。「梅の枝に小鳥が2羽止まった構図です」と、元仙台市博物館長の佐藤憲一さん(68)が教えてくれた。政宗の書簡類に接する機会は多いが、絵は極めて珍しい▼あいにく、実物の展示は数日前に終わっていた。写真で見ると、対象を誠実に写したのが分かる、見事な一幅である。おかげで、小鳥の種類がミヤマホオジロと同定できたという。画題は竹に雀(すずめ)ならぬ「梅ニ雀」なのだが▼政宗はこの絵を馬場親成(ちかなり)という功臣に与えたという。親成は財務に明るく、自治体で言えば財政課長のような人物だった。政宗より三つほど若いが、5年ほど早く没した▼1628年、相馬藩との間で境界争いがあり、幕府が裁定に乗り出した。政宗は親成に折衝を命じた。「幕府の言いなりになるな。相馬に寸土も渡してはならぬ」。親成は経帷子(かたびら)を着て事に臨み、2年半の後、ほぼ主君の意に沿う結果を引き出した。過労が原因か、間もなく他界している▼何につけ逸話がつきまとうのが、独眼竜の面白いところ。政宗生誕450年の今年、「梅ニ雀」を目にする機会もあるのでは。文化人としても一流だった政宗の新たな魅力を味わいたい。(2017.7.17) 


2017年07月17日月曜日


先頭に戻る