社説

モンテ社長解任/山形県に猛省促す署名活動

 スポーツの世界、成績が振るわなかったときにこそ、選手、スタッフ、応援する者全体の真価が問われる。今回の騒動は、再起に向けた出はなをくじいた。
 4季ぶりに昨シーズン、サッカーJ1で戦った山形の運営会社、モンテディオ山形の社長解任だ。
 株主の山形県は理由を「J2降格の責任」と説明する。しかし、社長交代から1カ月以上たっても、納得しない県民、サポーターは多く、吉村美栄子知事に対する抗議の署名活動が続く。
 後任に県職員OBを充てたことも疑問視された。「知事らは出資法人の一つ程度としか思っていないのだろう」との声が上がる。
 署名文は、透明性のある説明と県民の意見を踏まえた行動、「天下り人事」の慣例見直しを求め、猛省を促す。
 山形県は要求、意見と真摯(しんし)に向き合う必要がある。
 前社長は昨年11月26日、株主が急きょ招集した臨時株主総会で辞任を勧告され、事実上解任された。株主は山形県スポーツ振興21世紀協会(構成比49%)、アビームコンサルティング(49%)、山形県(2%)の3法人。
 総会では21世紀協会理事長の細谷知行副知事が辞任決議を提案した。吉村知事はその後の記者会見で、「J2に降格した今季の総括。株主の総意だ」と強調した。
 県は辞任要求の理由として(1)選手補強の不足(2)観客動員の伸び悩み(3)監督続投人事の独断(4)降格クラブの社長、監督の引責辞任の先例−を挙げている。
 これに対してサポーターは、前社長の経営黒字化、スタジアム構想の検討など実績を評価する。「今回の判断は、県民、サポーターの思いとはあまりにもかけ離れている」(署名文)と指摘する。
 成績不振が理由なら、監督の責任も問われるはずだが、株主らにその動きは全くなく、整合性を欠いている。
 解任問題は県議会12月定例会でも取り上げられた。県は代表質問、一般質問、予算特別委員会、総務常任委員会と立て続けに追及を受けた。
 拡大する反発に吉村知事の支援者も動いた。県議会の与党会派は「説明に違和感を持つ県民がいることも事実」として、十分な情報提供とコミュニケーションを図るよう要望書を手渡した。
 吉村知事は年末の会見で、署名活動を「モンテへの強い思い」としながら、「その強い思いは来季に向けてもらえないか」と述べた。説明要求には「何度も同じ話を申し上げるしかない」と語った。
 署名は5000人を超える勢いという。呼び掛けるサポーター団体も騒動の長期化は望まない一方で、解任をうやむやにもできないと悩む。
 1年でJ1再復帰を目指すチームは12日に再始動した。20日からは千葉県で1次キャンプが始まる。
 「モンテは県民の宝」。こう強調する吉村知事には説明が繰り返しになっても、直接対話し誠意を尽くす姿勢が求められる。サポーターが不信感を抱えたままで、2月28日の開幕戦を迎える事態は誰も望んでいない。


2016年01月15日金曜日


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