社説

東北の野党共闘/地元協議で一致点を探れ

 甘利明経済再生担当相の辞任という敵失はあったものの、ばらばらでは「1強」の自民党に対抗できず、勝利をたぐり寄せることはできない。その認識では一致するものの、基本政策が異なる相手との連携は思うに任せない。
 夏の参院選に向け野党候補の一本化が難航している。東北は宮城、福島が定数減で改選数1となり、6選挙区全てが「1人区」となった。勝敗の鍵を握る重要な主戦場だ。
 自民党は青森、宮城、秋田、福島の4選挙区に現職、岩手と山形に新人を擁立する。民主党は宮城、福島に現職、秋田に元議員、青森に新人を立て、山形では無所属の元議員を推薦した。共産党は全選挙区で新人を公認し、生活の党は岩手の現職が議席死守を目指す構えだ。
 共産党の各県委員会は、野党連携が整えば立候補を取り下げる姿勢を示す。野党統一候補が実現すれば、どの選挙区も激戦となるのは必至だ。
 与党に論戦を挑むのは野党の責任である。安全保障関連法、環太平洋連携協定(TPP)はもちろん、憲法改正や人口減少社会など争点は多い。当然、野党は明確な選択軸を有権者に示すべきである。
 7月に想定される参院選まで約5カ月。野党共闘に向けて、政党間の協議はもとより、選挙区ごとに事情が異なる共闘の在り方について、地元協議を加速させてはどうか。
 東北の選挙区で統一候補擁立の可能性が最も高いのは、現時点で山形選挙区だ。自民党は新人を立て、民主党は無所属で立候補する元参院議員を推薦した。社民党も推薦を決め、共産党も共闘に積極的な姿勢を示す。
 岡田克也民主党代表は野党共闘に関し「選挙区ごとに候補者と擁立した人たちで決めるべきだ」と政党間協議よりも地元協議を優先させる考え。背景には、民主党と共産党の共闘に向けた協議入りが見通せない状況がある。
 共産党は安保関連法の廃止を目指す「国民連合政府」への賛同を選挙協力の条件に据える。民主党内には保守派を中心にアレルギーがあり、消極姿勢が強くにじむ。
 志位和夫共産党委員長は「一本化するなら政党間協議が必要。話し合い抜きでは難しい」と強調。岡田氏は「1人区に野党が複数候補を出すのは愚策。当選の可能性が高い候補者に一本化すべきだ」と共産党が自発的に立候補を取り下げるよう促す。
 岩手選挙区では生活の党現職が立候補する見通し。小沢一郎生活代表は衆参同日選の可能性にも触れ「野党が大同団結して戦う仕組みができれば、逆に与党の過半数割れを起こせる」と強調する。
 念頭にあるのは1990年代、イタリアで政権を獲得した中道左派連合「オリーブの木」。複数政党が緩やかな連合体を組んで選挙協力をする戦略だが、中央の足踏みと連動して地元協議は進まない。
 参院選は安倍政権への中間評価の意味合いが濃い。憲法、安保、TPP、エネルギー政策などで一致点を見いだす調整を中央と地方で進め、共闘の枠組みを示してほしい。そうした審判の場にふさわしい土俵作りが急務だ。


2016年01月31日日曜日


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