社説

政治への女性参画/加速させる法整備が必要

 世界の潮流から取り残された現況を確実に変えるには、もはや政党の自主性だけに任せてはいられない。法による仕組みづくりが必要だろう。
 4月には女性活躍推進法が施行され、企業などが数値目標を設定して女性の参画拡大に取り組む。それも踏まえ、多様な民意を反映させるべき政治の分野においてこそ、率先して強力に男女共同参画を推し進めるべきではないか。
 与野党を含む超党派の国会議員連盟が、「国政選挙の候補者はできる限り男女同数になるよう目指す」規定を盛り込んだ公職選挙法改正案を今国会に提出しようと準備を進めている。ぜひ実現させてほしい。
 国会では定数717人のうち女性議員は83人で、11.6%にとどまる。衆院での女性議員比率は9.5%で、列国議会同盟(IPU)による国際比較(下院)では190カ国中155位(2015年12月)。平均の22.8%に遠く及ばず、アジア諸国の中でも著しく遅れている。
 世界では100を超す国が議会の男女共同参画を進めるため、性別による候補者の割当制など積極的改善措置(ポジティブ・アクション)の仕組みを導入している。遅ればせながら、わが国も急ぎ手だてを講じなければなるまい。
 議連は、衆院選の比例代表で男女交互の名簿作りを可能にし、できるだけ男女同数の当選を目指す公選法改正案をまとめた。同時に、地方議会も含めた政治分野での男女共同参画を推進する法案の提出も予定する。
 1億総活躍社会の実現という安倍政権の重要課題に取り組むには、政策決定の場に1億の多様な国民を代表する多様な議員がいなければならない。多様な課題や背景を持つ当事者の参画こそが議会の活性化につながるはずだ。
 女性に限らない。性的少数者や障害のある人、困難を抱えた人、さまざまな年代層など、議会は社会の多様性を映す場でなければならない。
 今夏の参院選から選挙権年齢が18歳以上に引き下げられる。若者が政治を身近に感じ、自分事として関心を持てるようになるためにも、多様な「普通の」人たちが参画できる議会のありようを示すことが必要ではないか。
 私たちの暮らしにより近い地域課題を議論する地方議会であれば、なおのことだ。しかしながら、地方議会においても女性議員の割合は全国でわずか12.1%。全1788議会のうち、女性議員ゼロの議会は2割にも上る(15年6月1日、市川房枝記念会女性と政治センター調べ)。
 もちろん、法的な仕組みに頼るだけで事足りるわけではない。多様な議員が例えば介護や育児をしながらでも働きやすい議会の環境づくりや、ハラスメント防止といった意識改革が肝要だ。人材を掘り起こし、育成する取り組みも欠かせない。
 女性が初めて参政権を行使してから、ことし4月で70年。以来遅々として進まない政治への女性参画をこのままにして手をこまぬいているわけにはいかない。政府、各政党の本気度をしっかり見極め、変革を迫りたい。


2016年02月23日火曜日


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