社説

韓国大統領辞意/混乱の長期化 結束し回避を

 その真意は推測するしかないにしても、確かなことは、一国の政権がレームダック(死に体)化し、国政の混乱がさらに長期化すれば国内のみならず、隣国・日本を含む北東アジア情勢も不安定化させる恐れがあることだ。
 韓国の朴槿恵大統領が、親友の女性による国政介入疑惑を巡り、2018年2月の任期満了前にも辞任する意向を表明した。
 ただし、その進退問題は国会の決定に委ね「安定的に政権を移譲できる方策」をつくれば、との条件付きだ。
 憲法に任期途中の辞任に関する手続きの定めがなく、与野党がせめぎ合う国会で、憲法改正など、その条件を整えるのは容易なことではない。
 だが、辞意表明に追い込んだのは、一連の疑惑を、民主主義を踏みにじる国政の私物化と捉え、朴氏は指導者としての正統性を失ったとして、大規模なデモで「退陣」を叫ぶ国民の怒りだ。
 韓国の民主主義が危機にあることを直視して、与野党は党利党略を排し、結束して早期退陣の道を探るべきだ。
 地域の脅威である北朝鮮の核問題はむろん、日韓関係に及ぶ影響を最小限にとどめるためにも、これ以上、国政の混乱と空白が長期化することは避けなければならない。
 大統領を巡っては、親友の女性に機密資料を提供し国政に不正介入させたり、企業に圧力をかけ女性が実質支配する財団に資金拠出を強要したりした疑惑が持たれている。
 この女性に加え大統領府の前高官らが職権乱用罪などで起訴され、その中で検察は朴氏の「共謀」を認定した。
 共謀の認定は、大統領を罷免する弾劾訴追の根拠が生まれたことを意味し、野党に加え、与党非主流派も賛同し2日にも訴追案が可決される見通しとなっていた。
 そのタイミングで憲法改正が必要とみられる難題を突き付けての辞任表明である。国民の怒りに配慮を示しつつも、弾劾による罷免を避けるための時間稼ぎではないかなどといった見方が専らだ。
 現に訴追案の採決は先送りされたとはいえ、そうであれば、疑惑について説明責任を果たさない姿勢と併せ、あまりにも身勝手すぎないか。
 こうした大統領に、早期退陣の道を開かずして国民から負託を受けた国会といえようか。弾劾、改憲、それ以外に第三の手だてはないのか、つくれないのか、与野党は知恵を絞らなければならない。
 北朝鮮の核・ミサイル開発の放棄に向け、政権交代を控える米国、日本との連携を軸に国際社会の結束強化が求められる、この時期に韓国が揺らいではならない。従軍慰安婦問題の合意をはじめ、改善に動きだした日韓関係を再び不安定にさせてはならない。
 外交への影響を長引かせないためにも、新大統領選出に早期に道筋を付けるなどして国政の安定を図るべきだ。


2016年12月01日木曜日


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