社説

北、ミサイル発射/米は協調重視で戦略構築を

 この国は、無謀で身勝手な挑発行為を繰り返すことでしか自らの存在を訴えられないのか。腹立たしい限りだ。
 北朝鮮が12日朝、新型とされる中長距離弾道ミサイルを発射、約500キロ飛行して日本の排他的経済水域(EEZ)外の日本海に落下した。
 核開発と弾道ミサイル発射を禁じた過去の国連安全保障理事会決議の明白な違反だ。東アジアの平和と安定を脅かす、度重なる暴挙を断じて容認することはできない。
 決議を順守させるべく、国際社会は改めて結束と「包囲網」を強めねばならない。
 今回のミサイルは、発射前に燃料注入の必要がなく発射準備を探知されにくい固体燃料エンジンを使ったとされ、米本土を狙う大陸間弾道ミサイル(ICBM)のエンジン性能試験だとの見方がある。
 16日に故金正日総書記の生誕記念日を控え、国威発揚と内部結束を図るため、無謀な行為をエスカレートさせる恐れも否定できない。日本は米国、韓国と連携しミサイルの分析を急ぐとともに、警戒態勢に万全を期す必要がある。
 ミサイルの発射は米大統領選を控えた昨年10月以来で、北朝鮮に核・ミサイル計画の放棄を求めた日米首脳の「ゴルフ外交」を狙い撃ちした。
 トランプ米大統領は選挙戦で北との対話に言及しており、体制維持の保障を取り付けるため、北は対話の可能性を探っていた可能性がある。しかし、政権発足直後に国防長官を日韓に派遣。「最優先の安保課題」として北の脅威に取り組む方針を明確にした。
 日米韓が連携を再確認する中、核・ミサイル開発を進める強硬姿勢を誇示することで、トランプ政権を揺さぶり、その出方を見極めるのが狙いではないかとみられる。
 確かにトランプ政権の対北朝鮮戦略は定まっていまい。日米首脳外交を通じても、核・ミサイル開発を阻止する具体的な方針に何ら触れなかったのは、その証しといえる。
 非核化に応じなければ対話しない。このオバマ前政権の「戦略的忍耐」は成果を上げなかった。だが、その路線に基づく過去最強の国連制裁決議という圧力が、完全履行されているとも言い難い。
 米政権交代で結束と緊張が緩んでいるのだとしたら、制裁履行を徹底するにしても、対話の道を探るにしても、国際包囲網の「たが」を締め直さなければならない。
 国際的脅威に対するのに国際協調は欠かせず、その鍵を握るのはもちろん米国だ。北朝鮮を巡り同盟国の日韓と連携を強化することは「米国第一」、孤立主義的な立場から一歩踏み出したともいえる。
 歩をさらに進めて、問題解決に不可欠な中国、ロシアとどんな関係を築くのか。日米共同声明で確認した「拉致問題早期解決の重要性」も踏まえ、トランプ政権は北朝鮮戦略の構築を急ぐべきだ。むろん国際協調を念頭に、だ。


2017年02月14日火曜日


先頭に戻る