社説

少年法「18歳未満」諮問/更生への道のりが遠のく

 「18歳選挙権」をきっかけにして、少年法の適用年齢を見直そうという動きが表面化してきた。現在の20歳未満から「18歳未満」へ引き下げることについて、金田勝年法相が法制審議会に諮問した。
 民法上の「成人」も20歳から18歳へ変えようとする動きがある。法的には総じて、18歳で線引きするのが国の大きな方針なのだろう。
 少年の定義を統一しておきたいという考えも分からないわけではないが、一律に同一年齢にするのも無理がある。それぞれの法律の目的によって、適用年齢が違うのもあり得ることだろう。
 少年法は犯罪や非行に関わった子どもたちの処遇を決める重要な法律であり、その第1条に掲げた目的は「健全な育成」。引き下げで本来の役割を果たせなくなったら、本末転倒になってしまう。
 少年法の適用年齢を引き下げようとする動きは、以前から自民党などにあった。昨年6月、選挙権年齢を18歳まで引き下げる改正公選法が施行されたが、その付則で既に民法や少年法の見直し方針が盛り込まれている。
 選挙権の方は若年層の意見を広く反映させるとともに、政治意識を高めてもらうのが目的だろう。その一方で、少年法が目指すのは犯罪からの更生であり、適用年齢を自動的にスライドさせようとするのは違和感が伴う。
 事件を起こした場合、成人なら警察の捜査後に検察が起訴か不起訴かを決め、起訴なら地裁で裁判が開かれる。
 少年事件は家裁が「審判」を開いて保護処分を決めることになるが、成育歴や生活状況、心身の状態などをまとめた「少年調査票」を作成し、処分の内容に反映させている点が成人と大きく違う。
 審判を開かないケースであっても、家裁は立ち直りのために少年とその親らに指導や訓戒といった「教育的働き掛け」を行っている。
 更生を重んじる少年法の根底にあるのは、子どもは家族や社会の影響を強く受ける存在だということ。それだけに周囲が手助けすれば、立ち直りの可能性は大きい。
 もし適用年齢を18歳未満へ2歳引き下げたら、18歳と19歳が対象から外れるが、経済的にも精神的にも自立していない場合が多いと思われる。再犯防止のためには、刑罰を科すだけでなく教育的な配慮も不可欠なはずだ。
 少年による凶悪犯罪に対してはこれまで、被害者の家族らだけでなく世論も厳しい反応を示し、厳罰化されてきた経緯がある。年齢引き下げもそう抵抗なく受け入れられる可能性はあるだろう。
 ただ、少年犯罪の動向や更生の現状も十分考慮されなければならない。年齢見直しの最大の判断材料は、少年法の目的にかなうかどうかのはず。他の法律との整合性が先行する形で議論をスタートさせるのは短絡的にすぎる。


2017年02月16日木曜日


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