社説

相次ぐ北の挑発行為/阻止へ米韓中と協力強化を

 きのう朝、またもや北朝鮮が弾道ミサイル4発を発射。約千キロ飛行し、秋田県男鹿半島の西約300〜350キロ沖の日本海に落下、うち3発が日本の排他的経済水域(EEZ)に落ちたという。
 2月の日米首脳会談時に続く暴挙であり、EEZ内に着弾するのは3度目だ。
 米韓が1日に始めた定例の合同軍事演習に反発し、ミサイル能力を誇示する狙いがあったとしても、わが国の漁船が巻き込まれる恐れのある、危険極まりない挑発行為だ。過去の国連安全保障理事会決議違反は明白である。
 これ以上の挑発行為は断じて許し難い。その阻止と、北朝鮮の核・ミサイル開発放棄に向けて、日本は米韓はむろん、北に大きな影響力を持つ中国とも協力・連携を一層強化し、国際社会と共に「包囲網」を徹底する必要がある。
 政府は今回の発射を、新型ミサイルや、米本土を狙う大陸間弾道ミサイル(ICBM)技術を試した可能性もあるとみて、分析を急ぐ。米韓演習をにらむ、さらなる挑発にも警戒を怠ってはならない。
 ただ気になるのは、安倍晋三首相が「北朝鮮が新たな脅威となったと明確に示すものだ」と強調したことだ。
 確かに、ICBM開発を含むミサイル技術が進展した可能性は否定できない。
 備えは要る。だが、軍事的対応がエスカレートしないか心配だ。弾道ミサイル防衛の能力向上に加え、ミサイル発射前に拠点をたたく「敵基地攻撃能力」保有の議論が自民党内で高まっている。
 法理論上、許されるとの見解はあるにしても、日米安保体制で攻撃は米軍、防衛は自衛隊との役割分担がある。その「のり」を超える必要はない。抑止力を名分とした軍事的対応は、その応酬による不毛の「軍拡の連鎖」に陥る危険をもはらみかねない。
 日本は早期解決を図らねばならない拉致問題を抱える。国際社会と手を携え北に対する「圧力」を強めて、外交による解決の道を探るべきだ。
 今回の挑発については、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キムジョンナム)氏殺害事件で北朝鮮の関与が濃くなり、高まる国際的な非難をかわす思惑があったとの見方もある。
 殺害には猛毒の神経剤VXが使われた。北朝鮮は未加盟とはいえ、国際条約で製造や使用が禁止されている化学兵器に用いられる。北が開発・保有しているのだとすれば、国際社会に深刻な脅威がまた一つ加わることになる。
 ミサイル発射は、その脅威と警戒をかえって逆なでしたのではないか。
 中国は、訪中した北の幹部と友好関係を確認した直後のこの暴挙に不信感を強めたとされる。トランプ米政権は「あらゆる選択肢」を念頭に、対北朝鮮政策の見直しを始めたという。圧力路線をどう再構築するのか。国際社会の結束力と知恵が問われている。


2017年03月07日火曜日


先頭に戻る