社説

待機児童3年連続増/政府の本気度が問われる

 認可保育所などに入れない待機児童が一向に減らない。厚生労働省が1日発表した今年4月時点での数字を見ると、前年より2528人多い2万6081人だった。増加は3年連続である。
 真っ先に解消しなければならない課題なのに、手詰まり感さえ漂う。政府の本気度が改めて問われている。
 待機児童は、東京など首都圏をはじめとする都市部に集中している。地域的な偏在やミスマッチは以前からの傾向だが、このところの大都市圏での需要増に対策が追いついていないのが実態だ。
 東北各県でも仙台市の232人を含む宮城が790人と突出。次いで福島616人、岩手178人、山形67人、秋田41人、青森ゼロと、ばらつきが出た。東北で最も増加したのは福島市で、前年より98人多い223人だった。
 女性の就業率の上昇による需要拡大を政府が甘めに見積もっていたとの見方が強い。
 25〜44歳の子育て世代女性の就業率は約73%。本年度末に「待機児童ゼロ」を目指した5年計画が破綻し、政府は6月に策定し直した新プランで2022年度末時に80%を想定した対応に切り替えた。
 そもそも「女性活躍」を成長戦略の一つに掲げる政権である。女性の労働政策と保育行政の整合性が取れないようでは心もとない。
 新プランは待機児童解消の目標時点を丸3年先送りし、2年後の22年度末まで5年間で32万人分の受け皿を確保するという。大規模マンションでの保育所設置、公園や空き教室の活用、少人数を預かる家庭的保育事業の普及など都市部中心のメニューを示す。
 単発的な施設整備が新たな保育所需要を掘り起こし、また待機児童を生むという堂々巡りになる可能性がある。
 地域の特性に即した長期的対策の視点や、保育士の育成・確保対策などにも腰を据えて取り組まねばならない。
 特定の施設を希望しているなどの理由で、待機児童に算入されない「潜在的待機児童」は今回の集計で約7万人に上った。自治体でまちまちだった「保護者が育児休業中」のケースについては今回対応が統一され、復職の意思があれば待機児童に含めた。
 定義すら揺れ動いているのが待機児童の実態である。保護者らは保育所の門をくぐれるかどうかで暮らしや仕事が大きく左右される。一刻も早く改善しなければならない。
 10月から育休期間が最長2年に延長される。保育所が見つからない保護者の離職を防ぐ窮余の策だが、「2年休んだら仕事に対応できなくなる」という否定的意見もある。
 実際、待機児童の7割は1、2歳の幼児だ。早い時期に保育所を確保して職場復帰を目指すからだろう。
 単に受け皿の数合わせだけではなく、ライフプランも含めた子育て世代へのきめ細かな支援が求められている。


2017年09月06日水曜日


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