社説

対北・新制裁決議/今度こそ核計画放棄に道を

 6回目の核実験を強行した北朝鮮に対する新たな制裁決議が、国連安全保障理事会で採択された。
 核実験からほぼ1週間という異例の速さで、国際社会が一致して圧力強化の姿勢を示した意義は大きい。
 わけても特筆すべきは、北朝鮮の軍にとっても経済にとっても生命線である「石油」の規制に初めて踏み込んだことだ。ガソリンや軽油を含む石油精製品の供給と、原油の輸出に上限を設けた。
 決議を主導し当初、石油の全面禁輸を求めた米国が、北朝鮮の不安定化を懸念する中国、ロシアに譲歩したとはいえ、これで石油規制に道がついた。核・ミサイル開発を続ければ「いずれ全面禁輸」と強く警告を発した形だ。
 決議では、開発のための資金源を断つため、外貨を得る出稼ぎ労働者の就労や繊維製品の輸出も禁じた。
 この制裁が実行されれば、北朝鮮が輸入している石油燃料類の約30%が削減され、1千億円を超す外貨の獲得を妨げる効果があるという。北にとっては大打撃だ。
 実効性の鍵を握るのは、石油供給でも貿易面でも「太いパイプ」がある中国であり、ロシアだ。この両安保理常任理事国には率先して制裁を徹底履行してもらいたい。
 今度こそ、北朝鮮による核・ミサイル開発計画の放棄につなげなければならない。
 北朝鮮情勢を巡る国際社会の危機感は、以前とは明らかに違ってきている。
 背景には、エスカレートする北朝鮮の挑発行為が大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射に及んだことで、東アジアのみならず世界の脅威に「成長」したことがあろう。
 欧州連合(EU)の外相理事会は、北朝鮮外交官の活動制限を含め、独自の制裁を強化する方針で一致した。南米では米国の要請を受けたとはいえ、メキシコに続きペルーが北朝鮮大使の国外追放を決めた。そうした動きが広がりつつある。
 北朝鮮は、自らの挑発行為が、日米韓にとどまらない国際的圧力の強化と、ますますの外交的孤立を招いていることを直視するべきだ。
 今回の決議採択を受け、米国のヘイリー国連大使は、米国は北朝鮮との戦争を求めておらず、北朝鮮が「後戻りできない地点まで至った」とも考えていないと強調。核計画の停止を強く迫った。
 安保理決議に基づき、国際社会が圧力を強めるのは、核・ミサイル開発計画の放棄に向けた交渉に北朝鮮を引き出すためである。最終的に問題解決が図られるのは、言うまでもなく対話の場でだ。
 だから、国際社会は包囲網をしっかりと強化しつつ、一方では対話の仕組みづくりについても準備を怠ってはなるまい。対話の回路を用意しておくことは、緊張の極度の高まりによる「暴発」を防ぐ上でも必要なことであろう。


2017年09月13日水曜日


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