社説

国有地売却で新文書/意図的な隠蔽はあったのか

 大幅な値引きがされた学校法人「森友学園」への国有地払い下げ問題で、財務省の新たな内部文書が国会で次々に明らかになっている。
 文書は廃棄したのではなかったのか。疑念は晴れるどころか混迷が深まるばかりだ。
 年明け後、情報公開請求などによって公開された関連の文書は計25件。学園との交渉内容が一部含まれる文書もあった。しかし、提出の遅れから、肝心の昨年の会計検査院による売買価格の検査・報告には生かされなかった。
 きのうの衆院予算委員会で文書の意味を問われた検査院側は「提出を求めた内容があるか精査中」と、重視している。財務省側の意図的な隠蔽(いんぺい)が疑われても仕方あるまい。
 公開文書は近畿財務局の売却担当者と法務担当者とのやりとりを記した資料だ。
 昨年の国会では当時理財局長だった佐川宣寿国税庁長官が、野党から学園との交渉記録の提出を求められるたびに「廃棄した」と繰り返し突っぱねてきた。
 虚偽答弁を指摘されても、麻生太郎財務相は「省内の検討文書で、交渉記録には当たらない」と反論。16日からの確定申告スタートを前に「納税者の反発が高まっている」と主張する野党側の更迭要求に対しても、「職責を果たしてほしい」と佐川氏をかばった。その姿勢は国民が納得できるものではない。
 売買に至る経過はこの問題の核心だ。資料の廃棄は解明を阻み、結果として国民の疑念を増幅させた。関連の文書はほかにないのか。そもそも交渉記録は本当に廃棄されたのか。当事者の佐川氏は国会で事実関係を説明すべきだ。
 実際、今回の公開文書には学園側との交渉経過をうかがわせる内容が少なくない。
 2016年3月、地中から新たなごみが見つかり学校建設に遅れの恐れが出た際の文書では、学園側が「安価で買い受けることで問題解決したい」と要請した記述がある。
 また15年12月の文書では、将来の売却に向け「できる限り金額の事前調整に努める」との方針が記されている。この前月には、安倍昭恵首相夫人付の政府職員が、学園側から依頼され財務省に借地契約について問い合わせていた。
 当時、開校予定の小学校の名誉校長だった昭恵夫人の存在を、財務省側が意識した可能性はあったのか。土地売買に移行した場合、過ちなく対応するため意思統一を図っていたとしても不思議はない。
 昭恵氏と学園の関係については、先日の予算委で「政治的な力が働いたと考えるのが自然だ」と野党側が指摘した。安倍晋三首相は「(妻の活動は)厳に慎んでいかねばならない」と、活動の自粛に努める考えを示している。
 国有財産の処分が適切に行われたかが問われている。昭恵氏も学園と関わった経過を語り、事実解明に力を尽くす必要がある。


2018年02月14日水曜日


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