第21回新聞記事コンクール入賞作発表

豊かな感性きらり 「時代」を捉え発信

  東北の小中高校生が、身の回りの出来事を調べて記事にしたり、社会問題を考えて論説にまとめたりする、第21回新聞記事コンクール(河北新報社主催、東北6県教育委員会・仙台市教育委員会後援、三陸河北新報社協賛)の入賞作品が決まった。計733点の応募があり、戦後と平和、安全保障関連法、いじめ、環境問題、原発問題、18歳選挙権などのテーマが目立った。最高賞の河北新報社賞と、主な入賞作品を紹介する。

河北新報社賞 「継承の難しさ」
宮城教育大付属中3年・鈴木 樹さん(すずき・いつき)さん
論説委員長賞 「少子高齢化の現状と課題」
宮城県富谷町成田東小6年・長内 寧音(おさない・ねね)さん
「グローバル教育の姿」
秀光中等教育学校1年・小山 有美華(おやま・ゆみか)さん
「高校生も社会を変えられる」
宮城県泉高1年・横山 奈央(よこやま・なお)さん
編集局長賞 「思いやりのある社会へ」
仙台白百合学園小6年・井崎 英里(いざき・えり)さん
「なぜ人口が減る〜能代の未来〜」
能代市能代二中1年・塚本 佳穏(つかもと・かのん)さん
「小学校の統廃合がもたらす影響」
宮城県古川黎明高1年・鈴木 楓(すずき・かえで)さん
優秀賞/佳作
講 評/伝える意欲にあふれる

河北新報社賞

「継承の難しさ」 宮城教育大付属中3年・鈴木 樹さん(すずき・いつき)さん

 今年で戦後70年である。戦争の悲惨さを後世に伝えようと様々な活動が行われている。その中で、継承の難しさが指摘されることが多い。

 昨年夏、私は母と広島に行き、原爆に関するいろいろな施設を訪れた。原爆によって亡くなった人の遺品、被害を受けたたくさんのものの展示を見て、いたたまれない気持ちになったことをはっきりと覚えている。また、被爆者の方の話を聞くことができる、本当に貴重な体験があった。その方は、一つ一つ言葉を選びながら、詳しく話をしてくださり、当時の様子を知ることができた。昨年夏のたくさんの体験から、平和は大切だと感じた。

 それから1年、それだけではないのではないかと戦後70年の報道が盛んになる中で感じている。

 私は、宮城県に住んでいる。東日本大震災も経験した。ただ、私の周りには亡くなった人はいないし、特に大きな被害を受けた人もいない。でも、多くの方が亡くなったのは事実だ。それが現実として迫ってきたのは広島に行った後からだっただろうか。人の死を現実の出来事として捉えられるようになった、成長した自分に気がつく。

 原爆と東日本大震災。時期も起因も何もかも違うことのように思えるが、それは表面的なことのように、私には思える。

 平和は大切だ。それは当然のこと。ただ、難しい継承という課題。その一番の解決策は自分の目で見て、耳で聴き、肌で感じる。そして、自分で考え、考え抜くこと。これが、継承の課題の解決策にほかならないはずである。

 戦後70年に思うこと。それは、自分が感じたことを生かすことの大切さだ。とても単純なことの難しさを心に留めておくべきである。

◎自分の目で見て、耳で聴く

 昨年8月に旅行で広島を訪れました。背中に大きなやけどの痕が残る被爆者の体験談を聞き「人の死」を現実のものとして理解できるようになりました。受け継いだ知識は自分の財産になっています。

 戦争体験の継承が十分になされているとは思いません。原因は「戦争を知らない世代の無関心」です。戦争の悲惨さはテレビなどの情報だけでは分かりません。実際に自分の目で見て、耳で聴くことが大切です。

 戦後70年のことし、安全保障関連法が成立しました。政府は戦争を知る方々の声にしっかりと耳を傾けたのでしょうか。疑問が残ります。

 戦争の記憶を風化させないためには、僕たち若い世代が継承していかなければなりません。一人でも多くの人が関心を持ち、自分のことのように考えてほしい。そういう願いを込めて記事を書きました。

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論説委員長賞

「少子高齢化の現状と課題」 宮城県富谷町成田東小6年・長内 寧音(おさない・ねね)さん

 現在、日本の人口は、約1億2700万人である。しかし、今後この人口は、次第に減少して行き、2050年までには、日本の人口が1億人を下回ると予測されている。

 この人口減少の原因の一つとして考えられている大きな課題がある。それは、少子高齢化だ。現在、65歳以上の人は、全人口の約4分の1ほどを占めている。一方、生まれる子供の人口が減少している。この少子高齢化によって若者の人口が減り、高齢者を支えることが難しくなってきている。

 このことで日本全体が、どんな困難と戦うのだろう。その一番目に挙げられるのは、高齢者を介護する身内である。自分の親を介護するということは、とても大変である。介護者側が、介護される側に暴力を振るってしまうという悲劇をよく耳にする。この原因は、介護者側のストレスがその大きな原因と考えられている。

 私の祖母は、山形県の実家で介護施設を運営している。彼女は、自ら自分の両親を介護した経験も持っている。その祖母に、この問題について聞いてみた。「介護というのは、おむつなどの下の世話、入浴や食事などの日常生活を支えなければならないのよ。体力や精神力が必要で、想像以上に大変なんだよ」と言っていた。

 祖母が言ったもう一つの問題は、介護施設の入居を待つ、待機老人が増加する一方、介護施設の人手不足が起きているという現状だ。祖母の運営する施設は、職員の約4割が60歳以上で、最高年齢は71歳だ。

 さて、この少子高齢化によって引き起こされる問題に対して、どう取り組めばいいのだろうか。女性が子育てと仕事を両立できるように改善し、働き手になる若者を増やすことだ。これからの私たちは、新たな世の中を作り上げるため、一人一人が人口減少や少子高齢化の意識を高め、しっかりと社会に貢献しなければならない。

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論説委員長賞

「グローバル教育の姿」 秀光中等教育学校1年・小山 有美華(おやま・ゆみか)さん

 「グローバル教育」という言葉をよく耳にする。小学生の頃の私は、グローバル教育とは英語をより多く勉強することだけだと思っていた。「グローバル」の響きが格好良くさえ聞こえていた。ニュースでもグローバル教育に力を入れた学校等が紹介されていた。その姿を見ると、英語を上手に話し、国際交流をしていたが何か足りないと感じた。外国の人々は、「日本文化は素晴らしい」「日本のおもてなしは最高だ」と言う。私は、グローバル教育とは単に英語を学習するだけではないということに気付いた。

 中学校に入学し、グローバル教育の姿が見えた。入学して間もなく、陶芸や茶道に親しむ機会があった。奥深い学びで、日本文化について考えるきっかけとなった。日本には、2013年にユネスコ無形文化遺産に登録された「和食」や2014年に登録された「和紙」がある。また、2014年に世界文化遺産に登録された「富岡製糸場」等、世界に誇れるものが多くある。そして、「おもてなし」といった日本人のまごころが詰まった文化もある。グローバル教育は、1970年代にアメリカで地球的な広がりで相互依存関係が深まりつつあるという認識に基づいてはじめられた教育だという。私は、中学校での学習において、単に英語の学習だけでなく、様々な国の人々と交流し、日本の良さを伝えることが大切だと知った。日本の良き文化を学び日本をよく知り、互いの国の良さを認め合うことで、異文化を認め尊重し、共に助け合うことができる。そんな社会の実現を目指しグローバル教育が始まったのではないかと考える。言い換えれば、自己を認め相手を知り、互いに受容し合うことで良い関係が生まれる。

 このことは、人間同士の歩み寄りの真の姿ではないか。グローバル教育の姿から人としてあるべき姿を私は見つけた。

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論説委員長賞

「高校生も社会を変えられる」 宮城県泉高1年・横山奈央(よこやま・なお)さん

 今日、様々な社会問題が存在するが、その中で私が気になったのは「選挙権の引き下げ」である。これは、今まで20歳以上の男女に与えられていた選挙権を18歳に引き下げるというものである。今年の6月に、改正公職選挙法が成立した。

 この話を初めて聞いた時は、正直「18歳なんて、高校生も含まれているし、適切な判断ができなくて逆に社会は混乱してしまうのではないか?」と思った。そんな時、私は選挙権引き下げのニュースを見た。私は勝手に「投票率が下がってきたから、有権者を増やすために選挙権を引き下げたのだろう」と思っていたのだが、それは全く違った。少子高齢化が急速に進む日本。その中で若い世代に権利と責任を与えることで、高齢世代を支えていくことが目的であると知った。将来、日本を動かし、支えていくのも今の若い世代である。高齢者が多く、若者が少ないのだから、国や高齢者を支えるのは簡単なことではないだろう。だから、将来のことも考えてより今の若い世代の考えを社会に反映させていくことが大切だと思う。

 また、やはり心配なのは「高校生が選挙に参加する」ということである。「今の高校生は自分の考えを持っていない」と考える人もいる。しかし、私は東日本大震災の復興ボランティアを行ったり、ネパール地震の募金を行ったりする高校生を見て、「大丈夫ではないか」と思うようになった。今の高校生には、社会を良いものにしたいという気持ちがしっかりあるのだ。その気持ちがあれば、制度が変わっても若者たちは対応していけるだろう。

 私は、せっかく選挙権が引き下げられたのだから、面倒に思ったりせずに積極的に選挙に参加すべきだと思う。18歳選挙権とは、高校生のうちから社会を動かし、変えるチャンスを与えてくれるものだ。私にとっては3年後の話だが、社会をより良いものにするために日頃から政治に関心を持って生活したい。

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編集局長賞

「思いやりのある社会へ」 仙台白百合学園小6年・井崎 英里(いざき・えり)さん

 みなさんは「障害者優先駐車場」をご存じですか。大きな施設やスーパーの入口近くに設けられた「車いすのマーク」が表示された駐車場です。私が行くお店では、「高齢者マーク」や「チャイルドシートマーク」の表示された駐車場も一緒に並んでいます。

 私がこのお店を訪れたとき、この駐車場を元気そうな男性が堂々と利用している、そんな場面に出会いました。私はそのような大人の人を見て、とても悲しい気持ちになりました。そこで私は、駐車場の利用状況とこのマークについて調べてみることにしました。

 この夏休み、私は近所のお店で1週間、午後5時から6時までの1時間、「駐車場」の利用状況調査を行いました。調査したお店は中規模のスーパーマーケットです。1階に準備されている56台の駐車場で「障害者用」が2台、「高齢者用」が1台、「チャイルドシート」が1台の合計4台設置されています。調査中ほぼ毎日、これらの駐車場は利用されていました。利用状況は、別表の通りです。

 結果を見て、みなさんはどのようなことを考えますか。「身体障害者標識」の表示は義務ではありませんが、マーク無しの駐車場利用者が多い、車いすマークを付けている車の数が多い、駐車場係の立っている日はマーク無しの利用者がほとんどいない、様々なことが見えてくるのではないでしょうか。

 「障害者のための国際シンボルマーク」は、車いすのデザインですが、決して車いすを利用している人に限られたマークではありません。障害者全体を示しているマークで、この印が表示された駐車場を一般の人が使っても、罪に問われることはありません。つまり、みなさんのモラルに委ねられているということになります。このマークの精神を考えるなら、その場所を必要とする人のために、一般の人は利用をひかえるべきだと私は思いました。

 私の町が、人への思いやりのある町、本当に素敵な町になることを私は願っています。

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編集局長賞

「なぜ人口が減る〜能代の未来〜」 能代市能代二中1年・塚本 佳穏(つかもと・かのん)さん

 「今の能代市の人口はどのくらいなのか」「能代の人口は今後どのように推移するのか」と疑問を持ったので、能代市役所へ行き、現在の能代市の人口と今後について話を聞いた。 現在の能代市の人口は5万7564人だ。男女別では、男性が2万6640人、女性が3万924人と、女性の方が約4千人多い。このことから、能代市役所総合政策課の米村さんは、今後の人口について「さらに男性が減少し、女性が増加する」と予測している。

 そもそも、人口が減少するとどのような問題が出るのだろうか。米村さんによると、人口が少ないと税金の収入が減少したり、労働人口が減り、高齢者を支えることが難しくなったりするそうだ。その一方で、人口が少ないと、人と人とのつながりが深まり、人間関係が良くなるというメリットもあり、どちらがより良いとは判断しづらいのが現状だ。

 人口減少の一番大きな理由は、「能代に転入してくる人よりも、転出していく人が多い」からだ。また結婚する人が少ないこと、晩婚化が進んでいることも人口減少の主な理由である。

 能代市ではこの現状を改善するため、子育て世帯へ優待カード「めんchoco(ちょこ)カード」を発行している。協賛店で買い物の際にこのカードを見せると、「ちょこっと」サービスを受けられる。その他に、他の県や市町村から移住する人のために住宅のリフォーム費用や家賃の補助もしている。さらに、事業を新たに始める場合にも、支援をしているそうだ。

 また、能代市では観光に力を入れたり、就業場所を増やしたりなどに取り組んでいる。観光では、7月18日に「港まつり能代の花火」が能代港下浜ふ頭で開催された。約1万5千発の花火が打ち上がり、観客は夜空に豪快に咲く花火の数々に拍手を送った。

 能代の人口が年々減っているのが分かり、能代の未来はどうなるか心配だ。人口を少しでも増やすために私たちにもできることがあったら進んで取り組んでいきたい。

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編集局長賞

「小学校の統廃合がもたらす影響」 宮城県古川黎明高1年・鈴木 楓(すずき・かえで)さん

 私が楽しく過ごした小学校が廃校となってしまうのだろうか。文部科学省は「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引」を策定し、平成27年1月、各教育委員会に通知した。大崎市においても、学校教育環境整備指針を平成24年に策定し、現在、後期計画の見直しが行われている。私は、とりわけ小学校の統廃合が自分の住むまちにもたらす影響を考えてみた。

 少子高齢化で、小・中・高校の在学者数は減り続けている。大崎市内の児童数の推移では、昭和45年の1万3157人に対し、平成26年では7249人で、約45パーセント減っている。確かにそれを聞くと学校を減らさざるを得ないと考える。しかし、効率化を目的とした小学校の統廃合を議論することに疑問が残る。

 私の祖父は、農家組合長をしている。祖父に地域から学校がなくなる影響を聞いてみた。祖父は「学校がなくなったら、若い世代が都市部に移り、地域コミュニティーはますます崩壊するだろう」と話し、続けて「昔は、子供たちの成長を地域の皆で育ててきた」と付け加えた。その言葉を聞いた私は、毎日の登下校の通学路、決まっておじいさんが「おはよう」「おかえり」の声をかけてくれたことを思い出した。私が安全に、安心して通うことができるように見守り、時には友人とふざけて道路を歩いていた時には叱ってくれた。そう地域に見守られていたことを今更ながら実感した。

 小学校の統廃合は、私が当初想定していた思い出の校舎がなくなるという単純なものではない。小学校の統廃合がもたらす影響は、人間の成長過程を失うことでもあると考える。

 私は自分に言い聞かせたい。地域社会の一員であり、未来のまちづくりの担い手としての自覚と責任を持てと。そうすれば、統廃合のその先を真剣に考えることができるだろう。

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優秀賞/佳作

◆優秀賞
金田悠太郎仙台市栗生小5年
小形愛美仙台白百合学園小5年
千葉まひる登米市北方小5年
千葉咲月石巻市中津山二小6年
小島良太仙台市榴岡小6年
遠藤千里宮城県柴田町西住小6年
佐々木陸宮城県涌谷町小里小6年
木村剛工同6年
大川陽菜同6年
矢滝そら宮城県加美町鹿原小3年
石垣梨果仙台市仙台青陵中等教育学校3年
相沢匠宮城県古川黎明中3年
山内佑恵同3年
門間月菜同3年
下山奈津美同3年
鈴木真保同3年
手塚しずく同3年
佐藤亮太栗原市金成中3年
井崎英乃宮城県仙台二華中1年
木榑秀介能代市能代二中1年
横沢萌佳宮城県泉高1年
遠藤ひより同1年
林部宙同1年
横田みちる同1年
安達梨乃同1年
石田夢歩同2年
小座間一志山形県霞城学園高V部1年次
鈴木麻由宮城県仙台南高3年
佐藤舞香宮城県古川黎明高1年
片桐理智同1年
◆佳作
土生木碧宮城県涌谷町小里小6年
樋渡由美仙台市仙台青陵中等教育学校3年
佐々木真央宮城県泉高1年
(敬称略)  
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講評

伝える意欲にあふれる/審査委員長・沼倉良郎(河北新報社論説委員長)

 現場で見て、聞いて、考える。新聞記事の原点を踏まえた作品が多く、伝える、訴える意欲にもあふれ、質の高さを感じました。

 安全保障関連法、戦後70年といった「時代」を意識したテーマが目立ち、新聞を読んだり、テレビのニュースを見たり、社会に目を向けている様子がうかがえ、頼もしくも思いました。

 ただ、テーマが大きければ大きいほど、体験や取材と結び付け、借り物ではない自分の言葉で表現するのは難しくなります。

 その点、河北新報社賞に選ばれた「継承の難しさ」は秀逸でした。

 社会への関心を育み、課題への気付きを促すというコンクールの狙いが、被爆地・広島の訪問と東日本大震災という二つの体験を通じて作品に凝縮。体感、思索の追求が大切との主張も共感を得られたでしょう。

 論説委員長賞を受けた3作品「少子高齢化の現状と課題」「グローバル教育の姿」「高校生も社会を変えられる」は着眼に優れていて、論旨も明確でした。

 少子高齢化問題に介護の現場から切り込む新鮮さ、グローバル教育を掘り下げ、社会や人間関係のありようを見詰める独創性、選挙権の18歳引き下げをチャンスと捉えるメッセージ性が光っていました。

 編集局長賞の3作品は、いずれも身近なテーマを選択。子どもらしくもしっかりとした視点でまとめ、にじみ出る感性の豊かさを感じました。

 障害者優先駐車場の使われ方に着目した「思いやりのある社会へ」は調査結果の表を添付した労作。視覚に訴える工夫が理解を助け説得力を補強しています。

 社会の動きに目を向け、取材し、考えをまとめる。少々、手間はかかりますが、表現力、想像力などが磨かれることは確かです。今後も新聞に親しみ、どんどん挑戦してみてください。

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