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第4部 がん患者とサプリ
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ファイル<3完>インタビュー/安全・有効性の検証を
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がん患者の多くが、サプリメントを含む健康食品を摂取している。治療効果などへの期待は高いが、科学的根拠は不明だ。患者と医療従事者は、健康食品にどう向き合えばいいのか。代替医療の研究者で、金沢大大学院医学系研究科特任准教授の大野智さんに聞いた。 <不明な点多い>―厚生労働省研究班(主任研究者・兵頭一之介筑波大教授)の調査によると、がん患者の約半数が健康食品を利用しています。1カ月当たりの利用費用は、平均で約5万7000円に上ります。 「広く浸透してビジネスとしての規模も拡大していますが、サプリメントなど健康食品の安全性や有効性には不明な点が数多くあります。実体のはっきりしないものにお金をつぎ込んでいる現状は、好ましい状況ではありません。安全性や有効性をもっと検証すべきです」 「米国は年間約300億円の政府予算を投じて、健康食品の臨床試験など代替医療の研究に取り組んでいます。その成果に基づく情報発信も活発に行っています。それに対し、日本の態勢はまだ不十分です」 ―がん患者は、健康食品にどんな効果を期待しているのでしょうか。 「がんそのものを治したいという願望が強いです。抗がん剤の副作用やがんに伴う痛みの緩和を主目的とする欧米と比べると、対照的です。現代西洋医学では治る見込みがない、と見放された人たちが最後の手段として頼る傾向も見受けられます」 <ガイドに反響> ―がんの代替療法の科学的検証などをした厚労省の研究班(主任研究者・住吉義光四国がんセンター第一病棟部長)の一員として、一般向けの小冊子「がんの補完代替医療ガイドブック」を昨年4月に作りました。 「がん患者がよく利用する健康食品(アガリクス、プロポリス、AHCC、サメ軟骨、メシマコブ)を選び、ヒトでの有効性を調べました。国内外の科学論文を検索した結果、がんの縮小や延命効果といった直接的な治療効果を証明する報告はほとんどありませんでした」 ―どんな反響がありましたか。 「患者からは、『効くものだと思っていた。意外だった』との反応が数多く寄せられました。医療関係者や、患者に健康食品を薦める機会が多い家族ら周囲の人にも、ぜひ読んでほしいと思います」 「この研究班では近く、改訂版ガイドブックの作成にも取り組む方針です。今回、調査対象としなかった健康食品の効果を尋ねる問い合わせが多くあったからです。現段階では、フコイダンやタヒボなどが候補に挙がっています」 <知識が乏しい> ―健康食品を利用する際の留意点を教えてください。 「医薬品との飲み合わせに注意が必要です。例えば、がんに伴ううつ症状の緩和に使われる西洋オトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)は、塩酸イリノテカンという抗がん剤の働きを弱める作用があります。塩酸イリノテカンの投与を受けている場合、セイヨウオトギリソウの摂取は控えるべきです」 「ビタミンCとEのほか、大豆イソフラボン、ニンニク、ショウガ、イチョウ、朝鮮ニンジンなどには、血液が固まりにくくなる作用があります。出血しやすくなるため、手術前は避けてください」 ―多くの患者が、健康食品を使っていることを医療従事者に話さないようです。 「薬と健康食品による相互作用を防ぐためにも、利用する場合は医師に相談することが必要です。医師の側も健康食品を軽視しがちで、知識が乏しい傾向にあります。互いに意識を変え、コミュニケーションを深めていく必要があります」 「将来医師になる医学生の教育も重要です。米国では、7―8割の医学校がサプリメントやはり・きゅうなどの代替医療を系統立てて指導しています」 ―今後の課題は何でしょう。 「安全性をめぐっては、アガリクス製造業界で共通の自主基準をつくる動きがあります。国でも、健康食品の安全性確保のための総合的な対策づくりを検討しています。一方、患者の多くは、健康食品が有効か無効かに注目しています。公的な研究機関が有効性を調べる臨床試験を実施し、得られた成果を患者や国民に分かりやすく発信していくことが大切でしょう」
河北新報社と東北大は、連携・協力を通して地域と社会に貢献する「東北みらいプロジェクト」を展開しています。 毎週金曜日掲載。この連載に対する感想、ご意見などをお寄せください。年齢、性別、職業、連絡先を明記。ご意見の一部は、紙面に掲載する予定です。 郵送の場合は〒980―8660河北新報社・生活文化部「健康食品のカルテ」係へ。ファクスは022(211)1152。電子メールはseikatsu−bunka@po.kahoku.co.jp |
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(2007年5月18日) |
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