気になる症状 すっきり診断(3)持続的、断続的なせき

◎病気の兆候受診早めに/呼吸器内科科長一ノ瀬正和教授

<がん、感染症でも>
 「せき」は通常よく見掛ける症状で、全ての方が経験したことがあると思います。せきは、「肺」への空気の通り道に当たる「気管支」に異物(大気中の粒子や食べ物)が間違って入ってしまった場合、体外に押し出すための防御反応(反射)で、なくてはならないものです。風邪などでもせきは出ますが、これは喉の炎症が、粘膜にある「知覚神経」を刺激して起こるもので、通常数日程度で収まります。
 一方、持続的あるいは断続的にせきが出るといった場合はどうでしょうか? そういった場合の多くは、何らかの病気のシグナルですので注意が必要です。せきは喘息(ぜんそく)や慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)の初期症状であることはもちろんですが、肺がんや慢性的な気道・肺の感染症でも起こります。また、鼻炎や逆流性食道炎といった、肺以外の病気でもせきが出ます。
 特に、喘息の初期症状として起こるせきは「せき喘息」とも呼ばれますが、最近多いようです。喘息は気管支が炎症を起こし、空気の通り道である「気道」が狭くなり、ゼーゼー・ヒューヒューといった発作を起こす病気ですが、早めに適切な治療をすれば全く健康な人と同じような状態に保つことができます。
 「せきは出るが、ゼーゼー・ヒューヒューは感じない」といったうちに病院で治療することが大切です。COPDも同様で、せきが気になる程度から病気が進めば、少し歩いても息切れがするような状況になってしまいます。

<高まる治療効果>
 細菌やウイルスなどの病原体でなく、粉じんや化学物質を吸い込むことによってアレルギー反応から起こる過敏性肺炎も、最近増えていますが、初発症状としてせきがよく見られます。肺がんや肺炎などの感染症も同様です。せき程度の症状で見つければ、ほとんどの病気は重症化せず、治療効果も絶大です。
 東北大病院呼吸器内科では、喘息、COPDといった慢性疾患から肺炎をはじめとした感染症、過敏性肺炎、肺がん、さらには非常にまれな疾患まで、あらゆる肺の病気を扱っています。正確な診断には、気管支の狭さや肺の伸びやすさの程度を知ることが必要ですが、そういった肺の機能を調べる呼吸機能検査、種々の画像検査、さらには吐いた息(呼気ガス)の分析から気管支の粘膜の炎症程度も調べ、治療薬を選択しています。
 肺が少しでも気になる場合は、ちゅうちょなく受診してください。「病気が重くなってから大学病院へ」ではなく、「せき程度の軽いうちに大学病院で正しい診断を」が健康長寿の早道です。


2017年04月05日水曜日


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