気になる症状 すっきり診断(11)食事のつかえ感と食道疾患

イラスト・叶悦子

◎がんの恐れ 早期検査を/移植・再建・内視鏡外科科長 亀井尚教授

 普段の食事で、食道を食物が通過していく自覚を持つことはほとんどないと思います。もし、つかえ感がある場合は、詳しい検査が必要です。食道は長さ約30センチの筋肉を主体とした管状の臓器で、消化機能はないものの、口から胃まで食物を送るという大事な役割を担っています。今回は通過障害を来す二つの食道疾患について解説します。

<男性の罹患多く>
 つかえ感を認める代表的な病気が食道がんです。全国で年間約2万人が罹患(りかん)し、男性に多く、罹患年齢のピークは60〜70歳代になります。喫煙、飲酒(特にお酒を飲んで顔が赤くなる人)と発症の因果関係が明らかになっています。早期の食道がんは自覚症状がほとんどなく、また、通常のバリウム検診で発見することは難しいため、内視鏡検査(食道胃カメラ)によって見つかることがほとんどです。食道がんの早期発見のため、定期的に内視鏡検査を受けることをお勧めします。
 一方、つかえ感を自覚するようになった食道がんは、ある程度進行した状態と推測されます。がんが食道で大きくなってくると、内腔(ないくう)(食物が通る空間)が狭くなるためです。食道がんは、内視鏡検査で腫瘍から細胞を採取して、それががん細胞であることを確認して診断します。このほか、CTやPET検査で病気の広がり、転移の有無を検索し、治療法を選択します。
 近年、食道がんの治療は非常に進歩しており、手術、放射線、抗がん剤の組み合わせで成績向上が図られています。東北大病院では、身体への負担が少ない胸腔鏡、腹腔鏡手術を全国に先駆けて行ってきました。また、放射線治療の症例数も非常に多く、正常組織へのダメージを少なくし、治療効果を上げる方法を取り入れています。

<アカラシア注意>
 つかえ感を認める食道の別な病気に食道アカラシアがあります。これは食道下部の筋肉が緩まなくなり、食事が通過しない原因不明の病気です。10万人に1人というまれな病気とされてきましたが、実際の患者数はもっと多いと推測されます。
 多くの患者さんに食べられないことによる体重減少が見られ、症状の強い時には嘔吐(おうと)やそれによる誤嚥(ごえん)性肺炎を来すことも珍しくありません。確定診断には食道内圧検査という特殊な検査が必要となります。
 経口内視鏡による食道筋層切開術が近年、アカラシアの治療法として開発されました。身体に傷が付かず負担の少ない手術で、治療効果も高く、東北大病院でも行っています。原因のはっきりしないつかえ感がある場合、アカラシアの可能性について、主治医に相談することをお勧めします。


2017年08月04日金曜日


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