気になる症状 すっきり診断(19)7人に1人かかる過敏性腸症候群

イラスト・叶  悦子

◎生活に支障なら受診を/心療内科科長福土審教授

 過敏性腸症候群という病名を聞いたことがありますか。腹痛と下痢・便秘が続く病気です。英語ではirritable bowel syndrome(IBS)と言います。ストレスに関係がある文明病です。日本では全人口の14%ぐらいがIBSと判定され、多い疾患です。

<腹痛に下痢、便秘>
 IBSは、「ローマIV」という国際診断基準で判定されます。この基準では、腹痛が1週間に少なくとも1日以上起こり、それが最近3カ月は続いていることが条件です。しかも(1)腹痛は排便と関係している(2)排便回数が以前と変わる(3)便の外観が変化する−という三つの特徴のうち、二つ以上該当する必要があります。IBSは幾つかの型に分かれています。便が水様・泥状になるのが下痢型、小球状・小球集合になるのが便秘型、両者が混合するのが混合型です。男性は下痢型、女性は便秘型が多くを占めます。
 注意しないといけないのは、大腸がんや炎症性腸疾患など他の病気でもIBSとそっくりの症状が起こり得ることです。ただし、IBSでは体重減少、血便、発熱などは起こりません。血液検査、便潜血検査、大腸内視鏡検査といった通常の臨床検査を受けても、IBSの場合は異常が見つかりません。検査で異常がないのに、どうして症状が続くのでしょうか。脳と腸が過敏になっているからです。
 腸が過敏なために痛みを感じやすく、腸の運動も異常になります。その上流の原因として、粘膜バリアー機能の弱体化、粘膜の弱い炎症、特徴的な遺伝子と腸内細菌の変化が起こっています。また、脳が過敏なため、痛みとストレスを強く感じ、不安・うつの心理状態に陥りやすいのです。

<薬物、心理療法も>
 IBSの治療は、生活様式の調整、食事療法、薬物療法を行います。規則正しい生活を心掛け、睡眠を十分に取ることが重要です。食事の際は刺激物や夜間の食物の大量摂取を避けてください。特定食物で症状が起こりやすい方は、それを避けると症状が改善する場合があります。
 薬物療法は、まず腸の内容物や機能を調整する薬物を用います。例えば乳酸菌製剤などです。下痢型には腸の運動と知覚を調整し、便秘型には粘膜の水分泌を促す治療を行います。
 これらの薬で不足するのであれば、腹痛に鎮痛剤、下痢に止痢薬、便秘に下剤を追加、もしくは漢方薬を処方します。それでも効果がない場合は、うつ・不安を抑える薬を使うこともあります。新薬の開発も進んでいます。
 ここまでの治療が無効なときは、ストレスを無害化する心理療法を行います。腹痛と下痢・便秘が続き、生活に支障があるようなら、ぜひ医療機関を受診してください。


2017年12月01日金曜日


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