気になる症状 すっきり診断(21)高齢になると増える肺がん

イラスト・叶  悦子

◎毎年検診で死亡率減少/呼吸器外科科長岡田克典教授

 気管や気管支、肺にできる悪性腫瘍を肺がんと言います。日本人のがんの部位別死亡者数を見ると、肺がんは男性で第1位、女性では大腸がんに次いで第2位となっています(2015年の統計)。肺がんは高齢になるにつれて罹患(りかん)率も死亡率も高くなる病気です。日本の高齢化はまだまだ進行しますので、予防と治療が非常に重要になります。

<喫煙でリスク増>
 肺がんは喫煙との関係が指摘され、これまでの多数の研究で喫煙が重要なリスク要因であることが分かっています。国立がん研究センターの研究によると、非喫煙者に対して喫煙者が肺がんにかかるリスクは、男性4.5倍、女性4.2倍と報告されています。禁煙と受動喫煙から自分を守ることが、肺がん予防のポイントとなります。
 肺がんの症状としては長引くせき、血痰(けったん)、体重減少などがありますが、初期には症状が出にくいため、早期発見・早期治療につなげる検診が大事です。市町村の肺がん検診の対象者は40歳以上で、胸部のエックス線写真を撮影します。さらに、50歳以上で喫煙指数(一日の喫煙本数×喫煙年数)が600以上の人と、40歳以上で過去6カ月以内に血痰のあった人は喀(かく)痰細胞診が行われます。
 肺がん検診がどれだけ効果があるかを調べるため、新潟、宮城、岡山、群馬の4県で症例対照研究が行われました。それによると、毎年検診を受けていると、50%近い死亡率減少効果があることが分かりました。有効性が期待されている低線量CT検診は現在、臨床試験が行われています。

<全病期の治療可>
 がん治療の3本柱と言われているのが外科的治療(手術)、抗がん剤治療、放射線治療です。がんが肺の中にとどまっていてリンパ節転移がない(I期)あるいはリンパ節転移が肺の近くにとどまっている(II期)場合は、手術による治療が推奨されています。
 外科治療の進歩により、胸腔(きょうくう)鏡というカメラを用いることで身体への負担の少ない手術ができるようになりました。東北大病院では、比較的早期の肺がんに対して4センチ程度の小さな傷で行う完全胸腔鏡下手術、進行肺がんに対しては気管支や肺血管の形成(肺機能温存のために気管支や肺血管をつなぐ)を伴うような手術にも取り組んでいます(呼吸器外科で担当)。
 もちろん、抗がん剤、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害剤などによる薬物療法(主に呼吸器内科で担当)、放射線療法(放射線治療科で担当)、緩和医療(緩和医療科で担当)にも取り組んでおり、全ての病期に対する治療が可能です。
 肺がんは難治がんの一つではありますが、治療の進歩によって未来は少しずつ明るくなって来ると考えています。


2018年01月05日金曜日


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