<復興へのペダル>進む町づくり 広くPR

盆踊り大会でスタッフらと打ち合わせする高橋さん(中央)=20日午後、女川町のシーパルピア女川

◎ツール・ド・東北2016を前に(3)女川

 ツール・ド・東北2016は、全6コースのうち5コースが宮城県女川町を走る。町観光協会事務局長の遠藤琢磨さん(48)は「女川の今を広くPRできる。とてもいい機会になっている」と歓迎する。
 女川は東日本大震災の津波で中心部が壊滅し、人口の8.25%、827人の町民が犠牲となった。
 震災で大きな被害を受けた自治体の一つだが、遠藤さんは「ずっと被災地、被災者とは言われ続けたくない。町づくりを進める姿を全国に発信したい。新しい女川を見てほしい」と語る。

<商店街盛り上げ>
 「新しい女川」を象徴する場所が、テナント型商店街のシーパルピア女川だ。昨年12月、JR女川駅前に開業した。27店が広いれんがの歩道の左右にある平屋6棟に入る。周囲には自立再建の店も立ち始めた。ゆくゆくは合わせて約60店で駅前商店街を形成する。
 シーパルピアで衣類・雑貨店「MARUSAN」を営む高橋敏浩さん(39)は両親と祖母、そして店と自宅を津波で失った。「動いた方が気が紛れる」と、震災直後の2011年3月末に石巻市で営業を再開。町内の仮設商店街を経て、移ってきた。
 独自にデザインするTシャツが人気を集める。ツール・ド・東北に出場する地元のグループにもユニホーム代わりのオリジナルTシャツ作製を依頼される。注文は年々増えている。
 「女川が廃れる姿は見たくない」と商工会青年部長を引き受けた。地域全体を盛り上げようと、20日にはシーパルピアで青年部主催の盆踊りを催した。
 大会当日は駅前のエイドステーションでシーパルピアをアピールする。「大会中は商店街を回る余裕はないだろうが、後日、再訪してほしい」と呼び掛ける。

<すっかりとりこ>
 「ランニングより遠くに行け、1日10時間以上の運動も可能。楽しめる年代も幅広い」。女川町地域医療センター長の斎藤充さん(52)は震災後、支援に来た医師仲間の勧めで、体力づくりにと自転車に乗り始め、すっかりとりこになった。ツール・ド・東北には4年連続で出場する。
 斎藤さんの姿を追うようにセンターでもライダーが増え、今年は10人近くが出場する。「美しい海と走り応えのある道。自転車乗りにとって女川周辺はとても魅力がある」と評する斎藤さんは、女川をサイクリストが集う町にしようと、観光協会にマップ作りを提案している。自転車文化は新しい町に根付き始めている。
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 東日本大震災で被災した宮城県沿岸部を自転車で巡る「ツール・ド・東北2016」(河北新報社、ヤフー主催)は9月17、18両日に開催される。大会は今年で4回目を迎え、会場となる石巻、気仙沼、女川、南三陸の2市2町では、まちづくりに自転車を生かそうと取り組みが始まっている。観光振興や外国人旅行者の誘客などに励む現場を訪ねた。(ツール・ド・東北取材班)


2016年08月26日金曜日


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