<復興へのペダル>官民挙げて台湾客歓迎

佐藤さん(左)の助言で飲食店のメニューを中国語に訳す陳さん(右)ら台湾の大学生=宮城県南三陸町の南三陸ポータルセンター

◎ツール・ド・東北2016を前に(4)南三陸

<観光をセットに>
 今年のツール・ド・東北では、サイクルツーリズムの盛んな台湾からの旅行者をターゲットにツアーが組まれた。東武トップツアーズ(東京)の企画旅行で、東北でのインバウンド(訪日外国人旅行者)拡大を目的とする復興庁の「『新しい東北』交流拡大モデル事業」に選ばれた。
 人口約2350万の台湾から2015年、日本へ367万人が訪れた。訪日客の8割がリピーターとされる。東京、富士山、京都、大阪を巡る「ゴールデンルート」では物足りず、新たな発見を求める台湾人旅行者が少なくないという。
 同社マーケット開発部長の米田稔さん(51)も、「台湾からのリピーターの獲得には体験型など日本人と同じような旅の提案が必要になっている」とトレンドを分析する。サイクルツーリズムと東北の被災地観光をセットにした今回のツアーに期待を寄せる。
 ツアー客は気仙沼スタート、石巻ゴールの「気仙沼ワンウェイフォンド」(95キロ)への出走に加え、台湾とつながりの深い宮城県南三陸町などを訪問する。

<就業体験を開始>
 南三陸町は震災で全壊した町立病院を新たに建設する費用56億円のうち、台湾赤十字から22億円の支援を受けた。官民挙げて台湾との交流に力を入れる。町観光協会は今年、台湾の大学生のインターンシップ(就業体験)の受け入れを始めた。
 計19人が7月から最長2カ月、民泊しながら交流拠点「南三陸ポータルセンター」などで実習。案内表示の多言語化やフェイスブックを活用した台湾への情報発信、イベントのサポートなどに取り組んでいる。
 被災地の復興に役立ちたいと訪れた長栄大(台南市)の陳忠慶さん(22)は、日本語通訳や観光業界への就職を希望する。台湾のサイクルツーリズムについては「台湾一周や距離の長い旅行が人気だ」と説く。
 町観光協会は昨年から、住民を対象に中国語講座も開く。講師は台湾出身で町在住の佐藤金枝さん(49)が務める。受講生は台湾人観光客と接する機会のある商店主や民泊の受け入れ住民ら。2年目の今年は15人の募集枠が早々に埋まった。
 町は、台湾からのツール・ド・東北のツアー客を歓迎しようと趣向を凝らした食事や観光案内などを計画中。町観光協会の及川和人さん(35)は「まだ種まきの段階だが、今から実績を重ねて将来のインバウンド拡大につなげたい」と力を込める。


2016年08月27日土曜日


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