<復興へのペダル>大島出発を架橋に託す

18年度の開通を目指して大島架橋の建設が進む。対岸が大島=気仙沼市三ノ浜

◎ツール・ド・東北2016を前に(5)完 気仙沼

<数十人 島に前泊>
 気仙沼市は昨年、気仙沼ワンウェイフォンド(95キロ)の新設で、石巻市に続く第2の出発地となった。今年は約400人が気仙沼でのスタートを予定する。
 「出発地になった意義は大きい。宿泊需要が生まれる。ちょうどカツオとサンマの水揚げが重なる最高の時期。宿泊して気仙沼の味覚を楽しんでほしい」と気仙沼市観光課長補佐の畠山勉さん(49)が歓迎する。
 昨年は気仙沼湾に浮かぶ大島に前泊した出場者が数十人いた。島とはいえ、本土へは穏やかな内湾をフェリーで25分。港に着けばスタート地点の気仙沼プラザホテル前は目の前にある。
 大島は面積8.5平方キロで周囲24.3キロ。人口は7月末現在で2678と、東北地方の島で最多だが、ピークの5678(1964年)からは3000人減った。複雑な地形と豊かな自然が織りなす景色は「緑の真珠」とたたえられる。
 「島内は車が少ない。安心して練習できる。観光と大会。両方を楽しみたい人に大島宿泊は最適」と国民休暇村気仙沼大島営業課長補佐の新井洋次郎さん(37)はアピールする。昨年は20人前後の出場者が宿泊した。今年も同程度の予約があるという。
 2018年度には本土と結ぶ全長356メートルの大島架橋が開通する予定。島内の観光関係者が望むのは、気仙沼ワンウェイフォンドの島内スタートだ。
 「島の宿泊者を数百人単位で増やせるチャンス」。気仙沼大島観光協会長の白幡昇一さん(64)は、島を会場に30年以上続く春の「気仙沼つばきマラソン」と並ぶ一大イベントになり得ると期待する。

<地元の準備が鍵>
 島の観光にとって架橋は功罪両面があるという。車でのアクセスが向上する半面、宿泊者の減少や本土の宿泊施設との競争激化などが懸念される。「功の部分をどう大きくするか。ツール・ド・東北を入り口にした通年型のサイクルツーリズム振興には可能性がある」と白幡さんは語る。
 気仙沼大島観光協会青年部会長で旅館椿荘花月を営む村上盛文さん(42)は昨年、宿泊した大会出場者のために館内の多目的室を駐輪場として開放した。盗難防止への配慮だった。「自転車客の宿泊は初めて。サービス面をもっと研究したい」と話す。
 橋の完成で島の観光の形は一変すると村上さんは予測する。「ツール・ド・東北を島の活性化に生かすには住民が一体にならないといけない。架橋開通まであと2年。今から準備を進めていく」と意識を高める。
(ツール・ド・東北取材班)


2016年08月28日日曜日


先頭に戻る