<ツール・ド・東北>熊本地震乗り越え出場へ

地震の爪痕が残る熊本城天守閣を背に、ツール・ド・東北への思いを新たにする真藤さん=熊本市中央区

 東日本大震災からの復興を支援する自転車イベント「ツール・ド・東北2016」(河北新報社、ヤフー主催)が17、18日、石巻市から気仙沼市にかけての沿岸部で開かれる。4月の熊本地震で大きな被害を受けた熊本市から、会社員真藤隆次さん(53)が参加する。東北から寄せられた支援への感謝と、復興へ共に歩む思いを胸に三陸に臨む。

 真藤さんは4月16日未明、震度6強を記録した熊本市中央区の自宅で本震に遭った。「人生で最も大きな揺れで何もできなかった」という2日前の前震を上回る衝撃。壁にひびが入り、調度品や食器が飛び散った。近くの熊本大体育館に避難し、朝を待った。
 古里の光景は一変した。熊本城の天守閣は瓦が落ち、櫓(やぐら)や石垣が無残に崩れた。親友が暮らし、多くの思い出が残るマンションは1階がつぶれて傾いた。いまだに震度5クラスの余震が続き、気が休まらない。
 震災の1年半後に訪ねた三陸の被災地の記憶がよみがえった。「地震に遭い、東北の皆さんの苦労を身をもって知った」
 2014年には第2回ツール・ド・東北の北上フォンド(100キロ)に出場した。忘れられない光景がある。肌寒い早朝、仮設住宅の被災者たちが沿道から手を振ってくれた。「応援に来たつもりが応援されていた。もったいなくて」。涙で視界が曇った。
 今年のツール・ド参加を考えていたさなかの地震だった。「被災し、東北の皆さんに会いたくなった」。震災の経験と教訓を伝えようと、熊本には東北から多くの支援者が来ている。今月上旬には青森市のねぶたが熊本城の広場を練り歩き、励ましてくれた。東北の存在をより強く感じた。
 2年ぶりの大会は、東京の大学に通う長男隆太郎さん(20)と一緒に18日の北上フォンドを走る。
 「日本が傾くかもしれない大震災に、三陸の人々がどう向き合っているのか。きちんと見てほしい」。ツール・ド・東北のゴールを、災害を乗り越える新しい自分たちの始まりにできればと思っている。


2016年09月10日土曜日


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