<ツール・ド・東北>民泊で深まる交流

住奥さん夫婦(右)の長女りんちゃんの1歳の誕生日を祝い、ケーキを用意して出迎えた木村さん夫婦=17日、石巻市鹿又

 17、18両日のツール・ド・東北は、出場者らを地元の人が自宅に泊める「民泊」を実施した。「石巻のお父さん、お母さん」と慕うホスト宅を繰り返し訪れる出場者がいれば、泊めた出場者の影響で自転車の練習を始め、初出場した75歳の被災者もいる。第1回から4年連続の取り組みが、交流に一層の深みを加えている。
 千葉市の住奥良介さん(39)と真紀子さん(40)夫婦は石巻市の木村民男さん(69)、妻美枝子さん(64)と2年ぶりに再会した。
 大会出場に伴う木村さん宅への民泊は3回目。これまでと違うのは娘りんちゃん(1)の存在だ。
 「かわいい子だ。赤ちゃんが来てくれて良かったね」。8月下旬が誕生日のりんちゃんに美枝子さんはケーキを用意した。大喜びするりんちゃんを4人がいとおしげに見つめた。
 初めて泊まった2013年、良介さんたちは木村さん夫婦の飾らない人柄に一気に引き込まれた。震災体験、夫婦円満の秘訣(ひけつ)、サンマ料理のこつ。会話が弾んだ。
 「親だと言いにくいから代わりに言うけど、子どもは早くつくりなさい」。デリケートな話題も、真情のこもった美枝子さんの物言いには素直にうなずけた。
 「お母さんの言葉が本当になった。まるで実家に帰省したような気持ち」と真紀子さんは言う。今年は良介さんだけが走ったが、将来は親子3人での出場を夢に描く。「いつかりんに、石巻のお父さん、お母さんから震災の話をしてもらいたい」と良介さんは話す。
 石巻市の佐竹明男さん(75)は北上フォンド(100キロ)に出場した。昨年、東京からの出場者4人の民泊を引き受けた。「応援がすごかった。ツール・ド・東北は素晴らしい」。完走の感動を語る宿泊者に刺激を受けた。
 津波で同市上釜地区の自宅は床上1.8メートルまで浸水した。3年かけ、ほとんど自力で修繕した家には今年も出場者3人が民泊した。ゴールした佐竹さんは「雨でもたくさんの人が手を振ってくれた。被災地の活気が心強かった。ずっと続けてほしい大会だ」と語る。
 大会事務局によると、今年の民泊者は146人。13年は100人、14年は185人、15年は198人だった。


2016年09月19日月曜日


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