<ツール・ド・東北2017>大島大橋活用 提案次々と

大島(右)と本土を結ぶ気仙沼大島大橋。19年3月の開通を見据え、サイクルツーリズムの機運が高まる

 東日本大震災で被災した宮城県沿岸を自転車で巡るツール・ド・東北2017が、9月16、17日に開かれる。震災からの復興を支援する大会は今年で5回目。自転車への理解は徐々に広がり、観光を融合させたサイクルツーリズムの具体化への期待が高まる。環境整備の機運も醸成され、関係者は「今年をサイクルツーリズム元年に」と意気込む。各地の取り組みや先進地の事例を紹介する。(ツール・ド・東北取材班)

◎発進 サイクル観光(中)気仙沼の期待

 気仙沼市の離島・大島と本土を結ぶ気仙沼大島大橋(長さ356メートル)は今年3月、橋桁の架設作業を終え、2019年3月の開通を待つ。市がツール・ド・東北のコースに加わってから今年で4年目。橋の完成とともに、自転車に乗って観光するサイクルツーリズムは具体化への期待が増している。
 「大島大橋に自転車専用レーンを設置してほしい」
 昨年、市議会や宮城県議会の一般質問で、議員から提案が相次いだ。市が加盟する県離島振興協議会は、大島の自転車走行環境の整備を県に要望した。自転車で橋を渡れれば、太平洋やリアス海岸を眼下に望み、絶好のコースになると関係者は確信する。市は事業主体の県と協議の場をつくろうと、準備に入った。

<環境維持が鍵に>
 大島は周囲24キロ、人口約2500。「海あり山ありで、景観を楽しみながら自転車に乗れる」。東日本大震災後に住民有志がつくった「大島の自然を守る会」副代表の小野寺敏行さん(37)は太鼓判を押す。潮風を感じるなら、小田の浜海水浴場から最南端の龍舞崎に至る東側。起伏に挑戦するなら北側の標高235メートルの亀山がお薦めという。
 代表の小野寺隆太さん(36)は「交通量が増えれば、狭い道路に車があふれかねない。のびのびと自転車で走る環境を維持できるかどうかが鍵だ」と今後の課題を指摘する。
 気仙沼市中心部でも自転車は観光に活用できそう。気仙沼商工会議所の菅原昭彦会頭は昨年以降、台湾の世界的自転車メーカー「ジャイアント」幹部や静岡県でサイクルツーリズムに取り組む団体の担当者を招き、可能性を探ってきた。
 「気仙沼は南北に長く起伏もあり、自転車は観光の有効な足になる」と菅原会頭。エリアの特徴に合わせ、市街地観光なら電動アシスト付き自転車、大島までは走行性に優れるクロスバイクを導入し、仙台、石巻、気仙沼を巡る本格的なコース設定も視野に入れる。

<復興の現場見て>
 建設中の三陸沿岸道路には、気仙沼湾に長さ1344メートルの気仙沼湾横断橋(気仙沼ベイブリッジ)が架かる。ハードルは高いが、大島大橋とともに限定的でも開放されれば、自転車観光はさらに弾みがつく。
 震災から間もなく6年半。被災した街の表情は刻々と変わる。被災地の今を参加者に感じてもらうために、復興工事の現場そのものをより近くで見てもらえないかという提案もある。
 大島大橋の自転車専用レーン設置を求め、県議会で質問した気仙沼・本吉選出の守屋守武県議は「復興途上の現場を走れば、自然の脅威とそれを乗り越えようとする人間の力を感じられる。今だからできるツーリズムだ」と訴える。


2017年08月25日金曜日


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