<ツール・ド・東北2017>津波で父と親友を失う 弔いの思い込め完走

応援の横断幕を持った親戚から激励される伊藤さん(左)=17日午前7時50分ごろ、気仙沼市本吉町の大谷海岸エイドステーション

 父と親友への弔いの気持ちを込めてペダルをこいだ。石巻市の会社員伊藤正成さん(63)は17日、気仙沼ワンウェイフォンド(100キロ)に出走した。「見てくれているかなと思いながら、心の中で手を合わせた。2人に後押しされ、完走できた」とゴールを切った。
 あの日。石巻市南浜町の実家にいた父源四郎さん=当時(90)=は、東日本大震災の津波で亡くなった。釣り好きで元気いっぱい。バイクでしょっちゅう堤防に出掛けた。あの日も、伊藤さんが昼に実家に立ち寄って会ったのが最後になった。
 親友はプールやジムに一緒に通った宮城県女川町の「ナベちゃん」。定年退職した前の会社の先輩で、市民マラソンの愛好家だった。津波にのまれた人を助けようとして犠牲になった。
 伊藤さんが自転車を始めたのは2013年。妻美智子さん(60)から退職祝いにロードバイクを贈られたのがきっかけだ。
 3年連続3回目の参加。初挑戦の気仙沼ワンウェイフォンドは台風18号の接近で、制限時間が2時間半早まった。「天気をもたせてくれ」。父と親友に祈りつつ必死で先を急ぎ、雨が強まる直前に完走した。
 伊藤さんの姿に2人はどんな声を掛けただろうか。「おやじはきっと『最後まで頑張れ』と励ましてくれただろう。ナベちゃんなら自転車を買って一緒に参加していたかもしれない」
 ゴールの余韻を味わいながら思いをはせた。


2017年09月18日月曜日


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