【ニュース】うたの泉
-
うたの泉(1446)扉の向うにぎつしりと明日 扉のこちらに ぎつしりと今日、Good night,my door!/岡井隆(おかい・たかし)(1928~2020年)
-
うたの泉(1445)新しき手帳のにほひあたらしき こころに一月の予定を記す/上田三四二(うえだ・みよじ)(1923~1989年)
-
うたの泉(1444)過ぎゆきは清清しくあれ大年の 火をつくるとき闇のふくらむ/辺見じゅん(へんみ・じゅん)(1939~2011年)
-
うたの泉(1443)詩に痩するといふこともなき歳晩の 今宵を煮えて濃きブリ大根/島田修三(しまだ・しゅうぞう)(1950年~)
-
うたの泉(1442)大根を抜きたる穴に雪積もり やがて真白き雪原生まる/菅原恵子(すがわら・けいこ)(1938年~)
-
うたの泉(1441)炭酸水うつくし 魚やわたくしが 棲むまでもなく泡を吐きゐる/川野芽生(かわの・めぐみ)(1991年~)
-
うたの泉(1440)十字架に肌(はだへ)の白く俯けり 死につつ生きて人の名はある/松本実穂(まつもと・みほ)(生年非公表)
-
うたの泉(1439)しづまりかへる露地を素通りしてゆけり 赤い尾鰭の郵便バイク/佐々木勢津子(ささき・せつこ)(1941年~)
-
うたの泉(1438)そのかみに日本列島ありました 謎の言の葉「ただいま」「おかへり」/笹原玉子(ささはら・たまこ)(1948年~)
-
うたの泉(1437)坂下るわれと等しき速さにて 追ひ来る冬の月の目鼻や/水原紫苑(みずはら・しおん)(1959年~)
-
うたの泉(1436)朴の木の落葉地に舞ふ われを出でて 最後となるはいかなる言葉/寺松滋文(てらまつ・しげふみ)(1926年~)
-
うたの泉(1435)燃えやすき樹皮に冷たきたましいを 抱いて白樺(しらかんば)のひとり勝ち/北山あさひ(きたやま・あさひ)(1983年~)
-
うたの泉(1434)神ということばを聞かぬこの冬の かすかに革の匂う手袋/杉崎恒夫(すぎさき・つねお)(1919~2009年)
-
うたの泉(1433)柴犬の優しいつり目こんがりと トースト色の尾を振り立てて/清水あかね(しみず・あかね)(1966年~)
-
うたの泉(1432)生(あ)るるとき死するときなにも持たぬゆゑ せめてこの世の荷をたのしまん/辻裕弘(つじ・ゆうこう)(1950年~)
-
うたの泉(1431)つはぶきの黄色(くわうしょく)ぬばたまの夜にして 土に低くし湧きし花びら/森岡貞香(もりおか・さだか)(1916~2009年)
-
うたの泉(1430)犬は犬のさみしさ負ふか冬雲の 擦れ違ひざまじつと見てをり/伝田幸子(でんだ・さちこ)(1941年~)
-
うたの泉(1429)物語の続きのやうな妻の絵の 「雪の降る町」雪橇がゆく/窪田雅夫(くぼた・まさお)(1935年~)
-
うたの泉(1428)かぼちゃ煮てセーター編んだと詠むような 人生だってあったはずだが/佐藤涼子(さとう・りょうこ)(生年非公表)
-
うたの泉(1427)子の部屋の裸のベッドに腰掛けて 半月はあかるいはうの月/小林真代(こばやし・まさよ)(1972年~)