<東北の本棚>「模倣」に焦点当て解説

◎楽しく学べる「知財」入門 稲穂健市 著

 「知財」は「知的財産権」の略で、本書によると「人間の知的な創造活動によって生み出された経済的な価値のある情報を、財産として保護するための権利」。著作権、商標権、特許権、実用新案権などがある。
 パソコンやスマートフォンの普及で、自分が創作したコンテンツが他人に流用されたり、無意識に他人の権利を侵害したりする可能性は高まっている。企業・団体だけでなく、個人レベルでも知財を知っておかねばならない局面は増大しているという。
 本書は難解な知財の世界を分かりやすく解きほぐすため、「模倣」という行為に焦点を当てた。模倣が全て駄目なわけではない。知的財産制度は、知識を持つ人を保護するとともに、他の人に知的財産を利用する機会を与えることも目指している。どこまで許されて、どこからが許されないのか。身近な事例を紹介しながら解説する。
 例えば、著作権について、アートディレクターの佐野研二郎氏が考案した東京五輪エンブレムの盗作疑惑を挙げ、著作権侵害と判断されるハードルはかなり高かったのではないかと指摘。ほとんど区別がつかない広島東洋カープ、中央大学、シンシナティ・レッズ、智弁学園和歌山高野球部の「C」マークの著作権の有無についても考える。
 商標権では、商標は創作物ではなく選択物と考えられると説明。「おーいお茶」や「どこでもドア」、福沢諭吉や坂本龍馬を巡る登録の明暗にも触れる。知財が永遠かどうかについては、不二家のペコちゃんやキューピー、ピーターラビットを例に挙げ解説した。実践的な知識が身に付き、ビジネスにも活用できるよう工夫した内容だ。
 著者は東北大研究推進本部特任准教授。
 講談社現代新書03(5395)4415=929円。


2017年06月25日日曜日


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