<ハーバード大>企業の在り方 被災地に学ぶ

訪問先の一つ、仙台秋保醸造所で毛利社長(左から4人目)に質問する米ハーバード大ビジネススクールの学生=仙台市太白区

 米ハーバード大ビジネススクールの大学院生が今月上旬、東日本大震災の被災地を訪れ、地元起業家らと経営を通した地域の復興を巡り意見を交わした。被災地訪問は6年連続。研修では社会課題の解決に向けたビジネスの在り方を探る。あくなき利益を追求するマネー経済の最前線に人材を輩出してきた同校は、東北から何を得るのか。(「被災地と企業」取材班)

<膝を交え議論>
 「新規就農者向けに、戦略本や、技術指導ができるベテラン農家との仲介システムをつくってはどうか」
 仙台市若林区で10日にあった企業訪問の報告会。同校の5人がNPO東北開墾(花巻市)の代表者らと膝を交えた。同法人は農漁業者を紹介する月刊誌と生産物をセットで販売する。意見交換の中で、5人は新規就農者とベテラン農家との情報共有不足を指摘し、改善策を提案した。
 日本研修には修士課程2年の43人が参加した。企業訪問は研修のメイン。9班に分かれ、宮城県内5市町と花巻市の企業やNPOを対象に事業概要や課題、経営者の思いを聞き取った。
 元経営コンサルタントや元投資銀行員の学生も多く、経営戦略や販路開拓などについて助言した。
 海外研修は「どっぷり現場に漬かって経験するプログラム」という正規の選択授業で2012年に始まった。背景には08年のリーマン・ショックに端を発した世界金融危機がある。
 同校は国際金融の中心地、米ウォール街に多くの修了生を送り出してきた。指導教官の竹内弘高教授(70)は「われわれが金融危機をつくった張本人かもしれない、との反省が学内にあった」と語る。

<学生から提案>
 同校は10年以降、事例研究偏重だった方針を改め、「知識」「実践」「生き方・信念」のバランスを取る教育にかじを切る。震災の発生を受け、学生の提案で被災地研修が加わった。
 今回の参加者の出身国は過去最多の14カ国。交通費など45万〜56万円の費用は自己負担する。唯一の日本人で青森市出身の成田大気(たいき)さん(35)は「使命感を持って起業し、社会に貢献できる仕事をしたいと思っている学生はかなり多い」と学内の雰囲気を説明する。
 日本研修は今月3〜14日。東北では6日間過ごし、企業訪問のほか、津波で街が壊滅した宮城県女川町で復興状況を視察、福島市では高校生と交流した。
 米国出身のシオン・サガエさん(28)は「被災地の人のように、いろんな困難に直面しても希望を捨てないで頑張る。そうした心を持ち続けることの大切さを学んだ」と目を輝かせた。


2017年01月25日水曜日


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