<震災6年>ベガルタ富田 被災地に希望を

「特別な試合だ」と神戸戦に臨んだ仙台・富田選手(17)

 仙台市泉区のユアテックスタジアム仙台で11日あったサッカーJ1、仙台−神戸の復興応援マッチ。東日本大震災の発生から6年となったこの日、3年連続で仙台の主将を務めるMF富田晋伍選手(30)は震災当時の記憶を胸に刻みながらピッチを駆け回った。「被災地に希望を届けたい」。試合は0−2で敗れたが、在籍13年目のベテランは今季の健闘を誓った。
 「特別な試合という思いはあったが勝てず、申し訳ない」。90分間戦い抜いた富田選手は試合後、悔しそうな表情を見せた。
 震災の記憶は今も鮮明に残る。練習後、仙台市内の自宅で大きな揺れに見舞われた。避難した泉区役所の駐車場の車内でチームメートのMF菅井直樹選手(32)らと共に一夜を明かした。「翌日から食料を求めさまよった。こういうことが起きるとは思わなかった」
 中断したリーグ戦は2011年4月23日のアウェー川崎戦で再開。「とても強く印象に残っている」と振り返る。仙台は先制を許したが、終了間際に勝ち越し、2−1で劇的な逆転勝利を収めた。「この試合で人の気持ちを背負って戦う大切さを初めて感じた」。プロとしての歩み方が変わった。
 他に震災を経験したのはMF梁勇基(35)、GK石川慧(24)の両選手で、計4選手に減った。「震災が忘れられないよう、発信し続けないといけない」。主将としてチーム内の風化防止に心を砕く。
 「勝つことが一番の貢献」との思いを抱く。それだけに、残留争いを演じてしまった昨季まで2年間の成績が不満で、一度は主将の続投を断った。だが、渡辺晋監督(43)に「震災をチームの中で体験し、継承していく人間が必要」などと強く慰留され引き受けた。
 「目標のトップ5を目指しながら、タイトルに手が届けばいい」。サポーターに歓喜を届けるため、再び自らを鼓舞しながら先頭に立つ。(スポーツ部・狭間優作)


2017年03月12日日曜日


先頭に戻る