<ベガルタ>2017年の戦い(下)フロント/入場者数回復に躍起

空席が目立った第3節ホーム神戸戦。入場者数アップが大きな課題=3月11日、ユアスタ仙台

 「本日の入場者数は1万5533人です」。試合前にチケットの完売が発表されていた11月18日のホーム大宮戦。実際には定員の約2万人を大幅に下回り、場内アナウンスにユアスタ仙台はざわめいた。渡辺監督は「『大歓声に応えよう』と選手を送り出したのに、がっかりを通り越してびっくりした」と声を落とす。
 過去の大宮戦を参考に、入場者増を図ったクラブがスポンサー企業などに招待券を配ったが、多数が入場しなかった。クラブにはチケットを買えずに観戦を諦めた高校生の声も寄せられた。西川善久社長は「このようなことは二度と起こさない」と陳謝する。
 この試合に限らず、今季は入場者が伸び悩んだ。ユアスタ仙台で行われたリーグ戦全17試合の総入場者は25万677人と、J1に再昇格した2010年以来最低。年間チケットの販売も最も少ない6066枚で、13年の7266枚をピークに右肩下がりが続く。
 クラブは今後、2月に運用を開始したユアスタ仙台の無線LAN「Wi−Fi」(ワイファイ)限定で使えるポータルサイト「VPORT」のコンテンツの充実や、年間チケットの法人販売に力を入れる。営業部は「新規サポーターとリピーターを増やし、なんとか今年で減少を底打ちさせる」と躍起だ。
 フロントが危機感を募らせる背景には、地方クラブへ吹き始めた逆風がある。
 Jリーグは今季、リーグ戦全試合をインターネットで有料配信する「DAZN(ダ・ゾーン)」と10年総額約2100億円の大型契約を結んだ。世界的なクラブを育てようと、潤沢な資金は強化費などに充てられる。
 リーグ戦のみの支給金は1位のクラブが3年計22億円、2位は同11億7000万円、3位は2年計7億6000万円。このほか、YBCルヴァン・カップや天皇杯の上位チームへの賞金もある。強豪とそれ以外のクラブの財政、戦力格差は広がる一方だ。
 入場料や広告を合わせた仙台の営業収入は昨年度、22億8500万円だった。今季J1加盟18クラブでは、戦績に例えれば“J2降格圏”の16位。同じく小さな財政規模で長らくJ1に踏みとどまってきた甲府は力尽き、J2降格が決まった。フロント幹部は「明日はわが身。毎年のことだが、補強のミスは許されない」と姿勢を正す。
 西川社長は「毎年安定して中位以上で戦うために、早く30億円台に乗せたい」と意気込む。J1で上位進出を遂げるためには、ピッチ上だけではなく、経営上の激しい戦いにも打ち勝たなければならない。


2017年12月07日木曜日


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