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コメ試験栽培2年連続見送り 福島・飯舘長泥

 東京電力福島第1原発事故で帰還困難区域に指定された福島県飯舘村長泥地区のコメ試験栽培が、2年連続で見送られたことが9日、分かった。村は反対論が根強い住民感情に配慮して働き掛けを控え、再開が見込めない状態が続いている。

 長泥地区には原発事故前、75世帯281人が居住。2013年6月、村が県の営農再開支援事業を受託し、コメに放射性セシウムがどの程度移行するかを調べるため、除染済みの試験田5アールで試験栽培を始めた。除染後、土壌に含まれる放射性セシウムは92%低減。放射線検査の結果、収穫米は全て検出限界値(1キロ当たり10ベクレル)を下回った。
 しかし、地区住民から「早期帰還を急ぐ村や国のパフォーマンスに利用されている」などと反発する声が上がり、14年の試験栽培を断念した。
 村は住民の意向を尊重する方針で、菅野典雄村長は「前に進むために試験栽培したい気持ちはあるが、住民側から要望が出るのを待つしかない」と話す。
 長泥地区の鴫原良友区長は「帰還困難区域にもかかわらず、すぐに営農が再開できると誤解を招いた。実験として淡々と進めるべきだった」と指摘する。
 農林水産省は飯舘村など7市町村の帰還困難区域を営農ができない作付け制限区域に指定している。県によると、長泥地区のほかに同区域で県の事業を利用した試験栽培の実施例はなく、ことしも試験栽培を希望した市町村はなかった。
 県農業振興課の担当者は「試験栽培は農家の協力が不可欠。帰還困難区域は除染の見通しが立たず、営農が可能になっても帰還できると考える農家は少ないのではないか」と推移を見守る考えだ。


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2015年05月10日日曜日

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