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楢葉町民、あふれる不信 帰れぬ苦悩

住民懇談会では、国の担当者がずらりと並び、町民の質問に答えた=10日、いわき市

 東京電力福島第1原発事故で全町避難している福島県楢葉町の避難指示解除に向け、国が4月25日〜5月10日に開いた住民懇談会が終了した。放射線や水道水への不安、生活環境の整備などを訴える町民の声には、国への不信感と、古里に帰れない苦悩がにじんだ。

<厳しい意見が続出>
 「第1原発は爆発しないと言うが、震災前も安全だと言っていた」「デブリ(溶融燃料)の取り出し方も決まらないのに帰れというのか」。原発の現状を説明する国の担当者に、町民からは厳しい意見が出た。
 水源のダム湖底に放射性物質が堆積する水道水の問題では「安全」と強調する国に対し「安心できない」との声が噴出。高木陽介経済産業副大臣が浄水場で水を飲み、安全性をPRしたことも「コップ一杯飲んだだけ。私たちは毎日飲むことになる」と突き放した。
 避難指示解除そのものに対する認識の差も浮かんだ。「解除は、帰りたい人が帰れるように規制を外すだけ。戻る、戻らないは個人の判断」との国の説明に「みんなが帰れるようにするのが、あなたたちの役目。解除はそれからだ。筋が違う」「無理やり帰して形だけ整えるのはやめてほしい」と迫った。

<長期避難で家荒廃>
 「狭い仮設住宅に4年も住み、生まれ育った場所に帰りたい。安心を与えてください」
 懇談会では、苦しい胸の内やジレンマをぶつける町民も目立った。「先祖からの財産、自分の財産を守りたい。でも現実には、帰って生活できますか」
 福島県会津美里町に避難する男性は「私は帰りたいと思う。息子家族も帰りたいと言っているが、孫のことを考えると、帰るのは私が許さない」と明かした。
 楢葉町には津波で家屋を流されたり、長期避難で家が荒れたりした人も多い。津波被災地の男性は「避難指示が解除されても、帰る家がない人がいる。でも、避難先では『帰れるのにいつまでいるんだ』と思われかねない」。
 原発事故後、国が中間貯蔵施設や焼却灰固形化施設などを次々と計画した波倉地区の男性は「迷惑施設ではなく、希望が持てるものを一つでいいから与えてほしい」と訴えた。


2015年05月14日木曜日

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