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<南三陸防災庁舎>県有化、来月請願審査開始

 東日本大震災の震災遺構として保存の是非が焦点となっている南三陸町防災対策庁舎をめぐり、町議会は6月4日に開く震災対策特別委員会で、一部遺族が県有化を求めた請願の審査を始める。1月26日の請願提出から約4カ月。村井嘉浩知事の県有化提案、町のパブリックコメント(意見公募)実施など状況が急展開する中、沈黙を続けた議会の議論に注目が集まる。(南三陸支局・古賀佑美)

 住民の6割が県有化に賛成した意見公募の結果が公表された今月25日、佐藤仁町長は「議会軽視とならないよう、議員の話し合いを踏まえ(県有化の)結論を出す」と述べ、6月中の判断に向け、議会の論議を注視する考えを強調した。
 県有化を求める請願は町議会3月定例会最終日の3月23日、特別委に付託された。これまでの間、公の場での議論は一切なかった。
 請願の紹介議員の一人、後藤伸太郎議員は「町は知事と遺族との話し合いの場を設けるなどアクションを起こしている。議会ももっと早く意見を出し合うべきだった」と話す。
 議会が慎重姿勢を続けた背景には2012年9月、防災庁舎の「早期解体」を求める陳情を採択した経緯がある。委員会採決の賛否は拮抗(きっこう)したが、本会議は全会一致だった。
 現在、特別委員長を務める山内孝樹議員は「議員一人一人が悩みながら一度解体を決めた。また話し合うには慎重さが求められる」と議決の重みを口にする。
 町議会は13年10月に改選された。改選前に比べ「解体派」の議員は減少。議会内の空気は変化しつつある。県有化に前向きな議員の一人は「町の財政負担がなくなるなど、以前と前提条件が異なる」と議論再開の必要性を訴える。
 一方、議員の中には「庁舎の県有化は町の予算や条例に関係ない。議会内の溝を深めるべきではない」として、採決を先送りにし、判断を町長に一任するよう求める意見もある。
 4日の特別委で採決に至らない場合、審議は6月中旬開会の6月定例会に移る。佐藤町長の最終判断までタイムリミットが迫る中、議会は密な議論を展開できるか。力量が問われる。


2015年05月27日水曜日

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