福島のニュース
  • 記事を印刷

<避難解除>一方的で時期尚早 楢葉住民反発

避難指示の解除時期について説明する高木経産副大臣

 避難指示をお盆前に解除する政府方針に対し、福島県楢葉町議会の全員協議会では「一方的だ」などと批判が相次いだ。行政区長らも「時期尚早」などと不満を漏らし、国との認識の違いが浮き彫りになった。
 町議会では議員が「医療や福祉、買い物など生活環境が整っていない。唐突な提案だ」などと反発。「準備宿泊を3カ月は延ばし、住民の意見を聞いて判断すべきだ」と国に迫った。行政区長会議でも、区長の一人は「準備宿泊をしても寂しくて、買い物も不自由な状態だ」と訴えた。
 町側には生活環境が一定程度、復旧した後に解除を望む声が強い。国が今回示した楢葉町の復興状況は、準備宿泊が始まった4月から大きな進展はない。青木基町議会議長は「生活環境が整わない中で唐突に解除時期が示され、違和感がある。秋には環境に変化も出てくる。宿泊を3カ月は延ばすべきだ」と強調する。
 これに対して国側は町議会などで「帰還を強制はしない。帰りたい人が帰れるようにすることが大切。避難指示のさまざまな悪影響を取り除くことが新たな復興段階に必要」と説明した。
 こうした強気の背景には、精神的賠償(慰謝料)を一律2018年3月まで支給するとした政府の福島復興指針がある。全町避難の楢葉町では、空間放射線量や住環境などで個人差が大きいが、帰還時期にかかわらず同額の慰謝料を約束した。高木陽介経済産業副大臣は町議会後、「多くの人が避難する楢葉の解除で、浜通り全体の復興が加速する」との考えを示した。
 町の大半は警戒区域に指定され、12年8月10日に避難指示解除準備区域に再編された。町議の一人は「国は再編から3年という節目に合わせようとしているではないか」と推察。行政区長の松本哲雄さん(67)は「準備宿泊を始めて3カ月目に入ったら、解除の話が出てきた。ストーリーが決まっているようだ」と冷めた見方をした。


2015年06月18日木曜日

  • 記事を印刷

先頭に戻る