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<アイリス>パックご飯や切り餅拡充し攻勢

米蔵を模した生鮮米の販売コーナー=仙台市宮城野区のダイシン幸町店

 アイリスオーヤマが、コメ事業で新たな戦略を打ち出した。パックご飯を5月に発売したほか、切り餅の生産能力を増やすなど商品ラインアップを拡充した。ブランド米の小分け販売事業は売り上げがまだ想定を下回っており、独自の低温製法による品質の高さをあらためてアピールし、コメ事業全体で巻き返しを狙う。(報道部・安住健郎)

◎販路広がらず

 「手軽なのあるよ」。帰宅したOLに、電子レンジの上から妖精役の演歌歌手前川清さんが呼び掛ける。パックご飯のテレビコマーシャル放映が20日、全国で始まった。大物タレントを起用したCMは「LED(発光ダイオード)照明の小林幸子さん以来」(広報室)という力の入れようだ。
 アイリスがコメ事業に参入したのは2013年。野菜やコメの生産販売を手掛ける舞台ファーム(仙台市)と組んで舞台アグリイノベーションを設立し、精米事業を始めた。工場全体を15度以下に保つ低温製法が特徴。鈴木真由美応用研究部マネージャーは「脂肪の酸化を抑え、風味が損なわれない」と強調する。
 「生鮮米」と名付け、味勝負で2兆円とされるコメ流通市場に参入した。年間200億円の売り上げを目指したが、数十億円と伸び悩んだ。不振の主な理由は、商品のサイズ設定と販路確保の難しさだった。
 当初は3合入りの小分け袋で売り出した。常に新鮮なコメを味わってもらおうと、使い切りサイズにこだわった。ただ主な購入層に想定した単身や核家族など少人数世帯にもあまり受けず、追加発売した2合入りもヒットしなかった。割高な価格と、販路が大手スーパーなどに広がらなかったこともネックになった。

◎生産能力1.5倍

 状況が好転したのは昨年10月。5キロ入りの大袋を販売し始めると、慣れ親しんだ量が消費者に受け入れられた。商品の供給先も同社の主戦場であるホームセンターを中心に広がり、販売額を伸ばし始めた。
 パックご飯は反転攻勢の切り札の一つだ。銘柄は宮城県産ひとめぼれなど5種類で、180グラム入り1パック当たり100円強の価格は他社のブランド米並みだが、同社は「低温製法のおいしさを知ってもらえれば十分勝負になる」とみる。ホームセンターなど全国1000カ所に販売コーナーを設置。年間20億円の売り上げを狙う。
 餅製造にも力を入れる。昨年買収した岩手県内の餅工場を刷新し、生産能力を1.5倍に高めた。もち米の精米にも低温製法を使い、初年度は切り餅で30億円の売り上げを目指す。
 「10万円もする炊飯器が売れる一方で、消費者は1円でも安いコメを選んで買っている」。大山健太郎社長はかねてコメ市場の在り方に疑問を抱いてきた。
 LED照明やペットフード分野で業界の常識を塗り替え、新たな市場を切り開いてきた同社。大山社長は「生鮮米のおいしさは、一度試してもらえれば絶対に分かってもらえる。10年後は業界の常識になる」と自信たっぷりに語る。


関連ページ: 宮城 経済

2015年06月23日火曜日

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