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<防災庁舎県有化>保存も解体も全て正しい

記者会見で防災対策庁舎の県有化方針を説明する佐藤町長

 「震災遺構を議論することは、こんなにも難しいのか」。宮城県南三陸町防災対策庁舎を県有化する方針を発表した佐藤仁町長は30日の記者会見で、曲折を経て決断に至った心境を吐露した。自ら同庁舎で被災した体験に触れながら、町が一度決めた解体方針を覆した理由に「時間の経過」を挙げた。最終判断までの猶予期間は2031年度までの16年。これから始まる町民との合意形成の進め方は示されなかった。

 震災から4年、庁舎保存の賛否が拮抗(きっこう)した状況に関し、佐藤町長は「この問題には『間違い』がない。保存も解体も全て正しい。どう選択すべきか悩んだ」と話した。
 町は2013年9月、いったん庁舎の解体方針を決めた。当時の雰囲気を「防災庁舎という言葉を口にするのもはばかられた」と振り返った。
 方針転換の主な理由は維持管理費を県や国が肩代わりし、町の財政負担がなくなったため。佐藤町長はそれらに加え、「将来に向かって庁舎が果たす役割を議論できる環境になってきた」と指摘。「三陸地方にはまた津波が来る。命をどう守るのかを中心に据えながら議論しなければならない」と強調した。
 33人の職員を含む43人が死亡、行方不明になった同庁舎では佐藤町長も津波に襲われた。「判断の根っこにあるのは犠牲になった仲間たち。どんな思いでわれわれを見ているのかと常に考えている」と語ると、涙ぐんでうつむいた。
 県有化受け入れ表明について、町内には「スタートラインにすぎない」との見方もある。記者会見では、今後必要な合意形成の在り方や進め方、開始時期は示されなかった。次の一歩をどう踏み出すのか。佐藤町長は「まず遺族に町の考え方を伝えたい」と述べるにとどめた。


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2015年07月01日水曜日

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