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<避難解除>延期1カ月弱「小手先で意味ない」

 政府は福島県楢葉町の避難指示を9月5日に解除すると決めた。町議会などに配慮し、当初の「8月10日解除」方針を転換したが、延期の幅は1カ月弱。「時期尚早」と反発してきた町民は「小手先のやり方。意味がない」と批判し、帰還を望む町民は「日にちが示され、落ち着ける」と歓迎しつつも「最初から戻る人は少ない」と予測した。
 「放射線量が高い場所が残り、生活環境も整っていない。1カ月で何が変わるというのか」。いわき市に避難する酒主明寛さん(78)は「スケジュールありきは同じ。住民の声を聞いたというなら、せめて県立の診療所ができる来年2月まで延ばすべきだ」と語る。
 政府は、精神的賠償が解除時期に関わらず2018年3月まで支払われると決まったため「町民に不利益は生じない」と早期解除に強い意欲を見せていた。町も「解除が遅くなれば、復興も遅れる」との認識では国と一致。荒廃した住宅の修繕などを課題に挙げながらも、当初は8月10日で折り合っていたとみられる。
 方針転換は町民の「時期尚早」の声に加え、町議会が予想以上に反発したためだ。関係者は「お盆前を強行すれば、議会との信頼関係が壊れる」と指摘。町の今後のスケジュールなども勘案し、直前に1カ月弱の延期が正式決定した。
 4月6日に始まった準備宿泊は、7月3日現在で690人が登録する。宿泊を続ける松本茂之さん(73)は「お盆前の方がよかったが、いずれ早く解除されるのはありがたい。解除の日が示されて、気持ちに張りが出る」と喜ぶ。
 ただ、登録者は町民の1割にも満たない。「解除しても人が戻らないのでは、町として成り立つのか心配」と言うのは60代女性。「国は強硬で、町も『判断するのは国』と繰り返した。釈然としない」と、一連の過程に不信感を口にした。


2015年07月07日火曜日

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