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<福島城下町の未来>地域資源の活用狙う

会津若松のシンボル鶴ケ城。訪問客をほかの観光スポットにどう誘導するかが課題だ

◎会津若松市長選19日告示(上)観光振興

 任期満了に伴う福島県会津若松市長選が19日告示される。東北有数の観光都市として知られる同市は、東京電力福島第1原発事故による風評被害が地域経済に暗い影を落とし、少子高齢化、人口減少などの難題が山積する。市長選を前に市政の課題を探った。(会津若松支局・跡部裕史)

 4〜6月に福島県内で行われた大型観光宣伝「ふくしまデスティネーションキャンペーン(DC)」で注目を浴びた建物がある。
 会津若松市の鶴ケ城本丸の遺構として唯一残る阿弥陀寺の御三階だ。個人客が中心の観光スポットだったが、DCに合わせ、初めて1階内部を公開した。その結果、団体客が訪れるようになり、観光客は3カ月で約1万人に上った。

<風評被害続く> 
 ただ、DC効果は御三階や鶴ケ城などを除けばいまひとつだったようだ。会津若松観光ビューローの渋川恵男理事長(68)は「3月に北陸新幹線が開業し、関東の観光客は多くが金沢に向かった」と話す。
 同市の基幹産業の観光は2013年、会津が舞台のNHK大河ドラマ「八重の桜」で盛り上がりを見せ、東日本大震災の前年を上回る396万人が訪れたが、昨年は290万人に落ち込んだ。関係者からは「一時的なイベントに頼らず、長期的な対策が必要」という声が上がる。
 原発事故の風評被害は、震災発生から4年以上たった現在も深刻だ。県外からの修学旅行は震災前の6割しか回復していない。台湾などの外国人観光客も改善傾向にあるが、震災前の水準には遠く及ばない。
 市南部の芦ノ牧温泉では震災直後に客が激減し、各旅館は従業員の解雇を余儀なくされた。芦ノ牧温泉観光協会の佐藤直事務局長(52)は「子どもがいる家族連れの戻りが悪い。会津は仙台や東京と放射線量が変わらないが、福島というだけで敬遠される」と嘆く。
 さらに鶴ケ城、飯盛山を中心とする白虎隊観光が近年、先細り傾向にあるため、「新しい素材を見つけ出すことが必要だ」と語る。
 会津地方には数多くの再生エネルギーの施設が存在し、市はバイオマス発電所や植物工場などの産業観光に力を入れる。しかし、市民からは「他の地域にも同様の施設があり、会津ならではとはいえない」という声も聞かれる。

<歴史PR提案>
 市中心部の七日町の再生に取り組んできた渋川さんは、地域資源を生かしたまちづくりの必要性を説く。
 具体的には、戊辰戦争からの復興の原動力になった商業文化を象徴する建造物や「八重の桜」の主人公新島八重のような地域の歴史的な女性にスポットを当てるほか、欧米の個人旅行者に照準を合わせ、神社仏閣、健康食、サムライ文化のPRを提案する。
 「ここでしかできないまちづくりが観光客や交流人口の増加、商店街の活性化につながる」。渋川さんはそう信じている。


関連ページ: 福島 政治・行政

2015年07月16日木曜日

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