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嗜好合わず?あきたタニタ食堂に辛口評価

メニューの1例で、オクラとナスの豚肉みそ炒め定食と、コーヒー、おからと枝豆のケーキのセット。20分以上かけて食べることを提唱する

 秋田市中心部に昨年末開店した「あきたタニタ食堂」の客足が思ったほど伸びず、苦戦を強いられている。首都圏では人気の塩分を抑えた定食が、塩分摂取量が多く、濃い味を好む秋田県民の嗜好(しこう)と合わないことなどが要因とみられる。同食堂は健康食になじんでもらおうと、独自に開発したスイーツをメニューに加えたり、「健康カフェ」を開いたりといった試行錯誤を重ねる。(秋田総局・橋本智子)

<調味料は置かず>
 食堂は、タニタ食堂の定食が味わえる東北初の店舗。核テナントの撤退が相次ぎ、昨年末にリニューアルした市中心市街地再開発地区「エリアなかいち」の商業ビルの目玉テナントとして入居した。タニタとフランチャイズ契約を結んだ秋田市の「あきた食彩プロデュース」が運営する。
 定食は薄味に加え、よくかんでもらうために野菜などは大きめに切り、硬めに調理している。65席のテーブルには塩やソースなどの調味料を置いていない。
 開店から2カ月ほどは、ランチ(午前11時15分〜午後2時)と夕食(午後5〜7時)で日替わり定食(750円)の計200食が瞬く間に完売した。
 好調な客足に陰りが出始めたのは春先ごろで、最近は定食が100〜150食出る程度。開店直後の客層は、ビジネスマンやOLが中心の大都市圏の店舗と異なり、お年寄りも目立った。現在は主婦や若い会社員をはじめとする女性が7割を占める。
 「薄味や食材の硬さが秋田の人に合わない面があったのかもしれない」と鈴木蘭子店長は分析する。開店当初から「素材の味が分かる」という声の一方で、年配客を中心に「味が薄い」「硬くて食べられない」などの指摘があった。

<濃い味好む文化>
 秋田県民の「濃い味好き」は全国屈指。県健康推進課によると、2011年度の県民1人当たりの1日の塩分摂取量は11.1グラムで、国の目標値(8.0グラム)を大きく上回る。山菜やハタハタなどを塩漬けにする食文化が根強い。その結果、がん死亡率、脳卒中の死亡率とも、ここ20年ほど全国ワーストクラスにある。
 あきたタニタ食堂も手をこまねいているわけではない。年配の客を取り込もうと、5月末、店員のパティシエが開発した枝豆とおからのケーキや、ココアと米粉のケーキ(各400円、200キロカロリー程度)をメニューに加えた。低カロリーで、かむ力が弱い高齢者にも好評だ。

<医療機関と連携>
 行政や医療機関と連携した「健康カフェ」にも力を入れる。生活習慣病などに関する講演後、塩分やカロリーを考えた定食を味わってもらうもので、中高年層を中心に定着しつつある。
 6月末には客足の伸びない夕食を中止し、営業時間を午前11時15分〜午後6時に変更した。一方で7月13日には定食とミニスイーツ、コーヒーかハーブティーのセット(計約600キロカロリー、1200円)の販売を始めた。
 管理栄養士の資格を持つ鈴木店長は「タニタのメニューが万人受けするとは考えていない」と話した上で、「健康食のモデルとして、普段の食生活に取り入れてもらえるように努めたい」と意欲を示す。

[タニタ食堂] 健康測定機器メーカー「タニタ」の社員食堂メニューを提供する健康食レストラン。2012年1月、東京に1号店がオープン。日替わり、週替わりの定食は、塩分を3グラムに抑えた野菜中心の主菜、副菜2種、汁物、ご飯100グラムで1食当たり500キロカロリー前後。店内で体脂肪率や基礎代謝量を測定できる。


関連ページ: 秋田 経済

2015年08月06日木曜日

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