福島のニュース
  • 記事を印刷

<川内再稼働>避難者ら訴える福島の教訓

 九州電力川内原発1号機が再稼働した11日、福島県の住民や東京電力福島第1原発事故の避難者たちは、複雑な思いでこの日を迎えた。福島の教訓は生かされたのか。さまざまな立場の人の声を聞いた。 


◎事故対応が検討不足

<福島原発作業員・ハッピーさん=「福島第一原発収束作業日記」の著者=>
 原発を再稼働させる状況ではない。安全審査は技術面から事故が起きにくくしただけで、事故時の対応が十分に検討されていない。福島事故の時、救急車すら現場に来られなかった。自衛隊も頼りにならなかった。事故対応の特別対策部隊が必要になる。新規制基準で、配管が強く固定され、配線も被覆された。故障箇所を修理しにくくなり、事故が起きた場合のリスクは逆に上がっている。


◎奪われた明るい未来

<自営業・大沼勇治さん(39)=福島県双葉町から茨城県古河市に避難=>
 再稼働は福島の事故を忘れることにつながる。私が小学生の時に考案した双葉町の「原子力明るい未来のエネルギー」のPR看板を町は撤去しようとしているが、事故で無人になった町の象徴であり、むしろ負の遺産として残すべきだ。原発事故が起きて恥ずかしい思いをするのは立地地域。事故が起きた時のことを想像してほしい。原子力は、明るい未来を奪うエネルギーだと。


◎再生エネに力入れよ

<会津電力社長・佐藤弥右衛門さん(64)=福島県喜多方市=>
 莫大(ばくだい)なエネルギーを必要としているのは都市部だけだ。地方は地域の水や食料、自然を使ってエネルギーも含めて自給自足できる。原発はごみの処理さえできない。都市のために地域が犠牲になるシステムだ。会津の電力を地元の自然で賄うため、会津電力を立ち上げた。福島の事故を経験しても再生可能エネルギーに力を入れずに、原発にこだわる国の施策は間違っている。


◎避難計画はずさんだ

<自主避難者の会代表・宍戸隆子さん(42)=福島県伊達市から札幌市に避難=>
 福島の避難者のことすら決着できていないのに再稼働する神経が分からない。福島の事故で避難区域の線引きに、被災者が納得できたか検証されていない。避難区域から漏れた自主避難者は、避難が権利として認められていないかのような扱いを受けている。川内原発の避難計画はずさんで、福島から何も学んでいない。再稼働して事故が起きれば、私たちと同じ避難難民を生むことになる。


◎地元住民よく考えて

<元国会事故調査委員会委員・蜂須賀礼子さん(63)=福島県大熊町から同県郡山市に避難=>
 福島の事故で絶対安全はあり得ないことが証明された。事故が起きた場合は、福島のようになってしまうことを地元が受け入れる覚悟がなければ、再稼働するべきではない。実際の事故を想定しない避難訓練は意味がなく、避難計画の検証も不十分だ。ただ立地地域の人たちに「生活が」と言われれば、何も言えない。決めるのは地元の住民。地元がよく考えた上で声を上げていかなければならない。

◎子どもの心配永遠に

<子育て支援団体代表・野口時子さん(50)=福島県郡山市=>
 原発事故直後は学校の教室の窓を閉め切ったり、プールに入ることを心配したりした。当事者にならないと分からないことばかり。自分の身に置き換えて考えてみてほしい。最近は県外避難から戻ってくる人が増えている一方で、放射能への不安を自由に言えない雰囲気になっている。親はこれからもずっと、子どもの体を心配し、何かできなかったかと傷つき引きずっていくことになる。


関連ページ: 福島 政治・行政

2015年08月12日水曜日

  • 記事を印刷

先頭に戻る