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<避難区域>福島に希望の花「咲かせる」

川村さんは古里再生への願いを込め、トルコキキョウの手入れに余念がない=福島県浪江町

 東京電力福島第1原発事故に伴う避難が続く福島県双葉郡で、花卉(かき)栽培に活路を見いだそうと新たな挑戦が芽吹いている。観賞用の花は、コメや野菜と比べ放射性物質に対する消費者の抵抗感が少ない利点に着目。関係者は営農再開の足掛かりと位置付け、やがては多彩な花の一大産地に育てようと夢を広げている。

<手応え>
 「花卉を産地化できれば雇用が生まれる。住民帰還につながるはずだ」
 福島県浪江町の避難指示解除準備区域。7月中旬、福祉関連のNPO法人理事長の川村博さん(60)はトルコキキョウの出荷準備に追われる中、手応えを感じていた。
 昨年初めて、NPO法人として県の実証研究に参加した。研究員の指導を受け、生長を促す植物ホルモンの散布や温度管理を学んで生産に成功した。
 トルコキキョウの花言葉は「希望」。「きれいな花が咲く風景の中に町民が帰って来られれば」と川村さんは古里への思いを重ねる。ことしはリンドウの初出荷にもこぎ着けた。

<10倍増>
 花の値段は市場の競りで決まる。買い取り価格が設定されるコメとは異なる。消費地はどう評価するのか。浪江は避難区域だ。先立つのは心配ばかりだった。
 リンドウは東京・大田市場で相場の1本10〜30円を上回る最高36円の高値が付いた。これを弾みに、トルコキキョウなどを含めた出荷量はことし、計2万3000本と昨年の10倍に増やす予定。「花をきっかけに福島の農産物に対する風評被害を少しずつ克服し、野菜類なども復活させたい」と意気込む。

<産地化>
 福島県川内村の農産物販売会社「緑里(みどり)」社長の河原修一さん(54)も新規参入組で、ことし初めてリンドウを出荷した。
 畑は原発20キロ圏の旧避難指示区域にある。原発事故前から作るコメは価格が低迷している。「コメは当てにならない。花卉は市場も応援ムードだ」
 県園芸課などによると、双葉郡8町村で花を扱っていたのは60戸ほど。原発事故で中止後、浪江、川内、楢葉、広野、葛尾の5町村で10戸以上が栽培に取り組む。大半が新しく始めた農家などだという。
 県は2013年度から、食料品より風評の影響を受けない花の産地化を目指す実証研究に取り組んでいる。双葉郡は比較的温暖でハウスの温度管理費を抑えられ、栽培が拡大する可能性を秘める。
 ふたば農協指導販売課の栗田文宏主任は「花の価格は品質が全て。避難区域かどうかは関係ない。気候に合った品種を提案し、出荷量を増やしていきたい」と話す。


2015年08月24日月曜日

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